2024年2月4日、トランプ前大統領がTV番組のインタビューに答え、大統領に返り咲いた場合は中国からの輸入関税率を60%以上にすることを示唆しました。
このインタビューは、FOXニュースの番組「サンデー・モーニング・フューチャーズ」内で、ワシントン・ポスト紙が1月27日に報じた「トランプ氏と共和党顧問が中国からの輸入関税率を60%にすることを議論した」とするニュースを下敷きにして行われました。インタビュアーがこの報道が真実か尋ねると、トランプ氏は「いや、おそらくそれ(60%)以上になるだろう」と回答しました。
これは驚くべき数字です。関税率は、品目や相手国との関係性によって幅があるため、一概に比較することはできませんが、世界で最も関税率が高いとされるバハマやバミューダも全品目・全相手国を均せば20%台前半です。60%はこれを遥かに超える水準であり、はっきりとした制裁・断絶の意志を示していると言わざるを得ません。
トランプ氏は大統領就任中の2018年6月に、中国からの輸入品のうち航空宇宙、ロボット、製造、自動車産業分野の製品約1,100項目に対する関税率を25%に引き上げたのを皮切りに、関税率引き上げを繰り返してきました。同氏はこの措置を、米国の知的財産と技術に対する中国の窃盗行為の罰であると説明しました。
中国政府もこれに対抗し、米国からの輸入品への関税率を引き上げたことで、両国間の貿易には多大な影響が出ました。影響を受けたのは中国経済だけにとどまらず、中国製品を輸入する米国内の事業者も大きなダメージを受けました。
60%以上という税率は、このときの比ではありません。企業努力で吸収できる範囲を超えた原価高騰につながり、事業撤退や廃業を余儀なくされる人も増えるでしょう。大統領選の結果次第で、米中摩擦は決定的になるかもしれません。
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