アメリカの貨物運送会社ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は現在、運送業従事者の労働組合であるチームスターズ労働組合と待遇改善を巡って交渉中です。組合側は交渉の期限を7月末に設定しており、期日までに合意に至らなかった場合には、「8月1日午前12時1分以降の労働を保留にする」とストライキ宣言をしています。
120万人が所属するチームスターズ労働組合のうち、UPSで働く人々は約34万人。その97%が、合意に至らなかった場合のストライキに賛同しています。UPSは従業員数を50万人超と公表していますが、その7割弱を占める計算です。それだけの人数がストライキを行った場合、業務が立ち行かなくなるのは明白です。
UPSは国際的な物流企業で、世界中の220以上の国や地域で1日あたり約2430万個の荷物を配送しています。これは、国営郵便サービスを除いた民間企業のなかではフェデックスやDHLに次ぐ第3位の数字。そんな同社の業務が停止してしまえば、個人間の配送はもとより、産業のサプライチェーンも停滞するため、業界外からも注目が集まっています。
組合側の主だった要求は「すべての労働者の賃金向上」「週末ドライバーの職務区分の廃止(フルタイムドライバーに比べ待遇が悪いため)」「フルタイムの雇用の引き上げ」「熱中症予防等、気候変動に応じた健康上の対策」「ハラスメントの是正、予防」などです。
現在までに、契約項目のうち95%に対して合意形成ができており、残すは5%という状況です。組合会長のオブライエン氏は集会での演説で、パートタイマーの待遇改善を特に重要視しており、交渉を重ねていると話しました。UPSで働く組合員のうち約55%がパートタイマーです。UPSの広報担当者はパートタイムでもフルタイムと同じ報酬を得られると話しており、16.20 ドルからスタートする時給は30日単位で昇給の機会があり、平均すると約20ドルほどだと言います。しかし組合側は、平均年収9万5000ドルを稼ぐフルタイム従業員に比べるとまだ足りないと認識しているようです。
7月末まであとわずか。交渉は無事に合意に達するのでしょうか?
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