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アメリカのインフレはピークを過ぎたようです。2022年6月には昨年同月比で+9.1%まで上昇していた消費者物価指数は、先月12月には6.5%まで低下。天候や市況による価格が変動が大きい食料とエネルギーを除いたコア消費者物価指数は、前年比+5.7%まで下がりました。
月ごとのインフレ率も、3ヶ月連続で+0.3%以下となり、インフレの勢いが収まりつつあることは間違いないようです。12月の日本の消費者物価指数は+4.0%ですから、それと比べるとまだまだ物価高な状況であることには変わりありませんが、危機的な状況は脱したと見る有識者が多いようです。
そうなってくると、次に注目されるのはFRBによる金利政策です。雇用や株式市場、そして不動産市場などに大きな影響を及ぼしている利上げ。利上げはインフレ退治のために行われはじめたことですから、インフレが落ち着けば利上げも停止またはごく小幅になると見られています。どんな状況になれば利上げが止まるのか、またそうなったときに各種資産にはどのような影響があるのかを考えてみましょう。
まず、ここまでに行われてきた利上げについて振り返りましょう。利上げ前、コロナ禍のなかで金融緩和が行われていたアメリカの政策金利は0.00-0.25%でした。そんな中、FRBは2022年3月から利上げを開始。まず小幅に0.25%利上げしたかと思うと、5月には0.50%の利上げを行い、その後6月・7月・9月・11月に0.75%ずつ4度の利上げを行いました。その後、12月に少しペースを緩め0.5%の利上げが行われています。また、2月の利上げ計画もすでに発表されており、さらに小幅の0.25%の利上げに留まる予定です。2月の利上げが予定通り担った場合、政策金利は通算4.50%引き上げられ、4.50-4.75%に達します。
政策金利がどこまでに達したら利上げが終わるのか気になるところですが、その疑問には明確な答えが出せません。FOMC(連邦公開市場委員会)が12月に発表したSummary of Economic Projections(経済予測概要)には、2023年の政策金利の最高値が5.1%と記載されており、この数字を信じるなら0.25%の利上げをもう2,3度行ったところで打ち止めになるはずです。しかし、この発表はあくまで12月時点での予測に過ぎず、インフレの沈静化の進み具合や、景況感によって計画は柔軟に変化します。
とはいえ、投資家たちはこの5.1%という数字を意識しているはずです。FRBの動きを正確に把握することはできなくとも、政策金利が5.1%に近づくほど、利上げの終了を期待した楽観的な取引が増えるであろうという予測は立ちます。
利上げが終了した場合、もっとも素早く反応するのはおそらく株式市場です。企業が資金調達しやすくなることで成長の加速が期待できるからです。現在、利上げやそれに伴う景気悪化の影響で、株価は軒並み低水準にあります。安価で株を仕入れておき、利上げ終了のポジティブなニュースに合わせて売り抜けようという人々は、フライング気味に早めに動くかもしれません。
一方、不動産市場が活発になるのは少し後になるでしょう。利上げが終了しても、ただちに利下げが行われるわけではないからです。しばらくは金利が高水準に留まるため、住宅ローンを借りにくい状況は変わりません。その間は買い手が少ないため、売り物件もあまり増えないでしょう。不動産市場が活気づくのは、ローン金利が実際に下がり、取引件数が増えはじめてからになるはずです。
影響を受ける時期はズレますが、株式市場にとっても、不動産市場にとっても、利上げ終了は良いニュース。インフレが早く収まってくれることを願いたいものです。
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