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先日行われたアメリカの中間選挙で、民主党が上院の過半数を維持したことが話題になっています。とういうのも、現政権への不満が溜まったタイミングで行われる中間選挙は野党有利で、過去の中間選挙もほとんどが野党勝利に終わっているからです。特に今回は、トランプ前大統領が「赤い波が来る」と宣言していただけに、共和党の大勝利に終わるのではと見られていました。
ところが、蓋を開けてみると両党の支持はほぼ拮抗。全100議席の上院では、50対49の僅差ながら民主党が半数を獲得(残る1議席は、接戦のため12月6日に再投票)。上院では、採決が分かれた場合のみ、副大統領(つまり、民主党員)が1票を投じることができるため、民主党優位な状況が維持されることが決定しました。この上院での勝利はアメリカ経済にも大きな影響を及ぼすと見られていますが、そもそも上院と下院とにはどのような役割の違いがあるのでしょうか? 今一度振り返ってみます。
上院と下院の違いが分かりにくいのは、役割の大部分が同じだからです。両院とも立法府、つまり法律をつくる役割を担います。法律の素案を考えること自体は誰でも可能ですが、それを法案として提出することは、上下院の議員にしかできません。また、提出された法案について大統領に提出するのも、上下院です。
法案提出から成立までの流れは以下です。上院議員により提出された法案はまず上院で審議・修正・採決され、可決になると下院で改めて審議・修正・採決されます。下院によって文言修正のうえ可決された場合は、上院で再審議・修正・可決し、上下院が同じ文言で可決するまでそれを繰り返します。両院が同一文言で可決した法案は大統領に提出され、多くの場合そのまま成立します。大統領が拒否権を発揮した場合は、両院で再審議となり、それぞれで3分の2の賛成を得ることで成立するか、賛成が足りずに廃案となります。
大統領により覆る可能性があるとはいえ、法案をつくる主体となる上下院議員は、国の舵取りに大きな影響を及ぼす存在です。
基本的な役割は共通する上下院ですが、一方にしかない権限もあります。下院から説明する方が分かりやすいので、下院からご紹介します。
<下院のみが持つ機能>
上記のように、上院は大統領や下院に対するブレーキ役です。上院と大統領の政党が一致している場合、大統領の意向に対するブレーキが最小限になるため、人事を始めとするあらゆる判断をスピーディーに行えます。ねじれ国会状態が緩和されたことで、政権運営はやや行いやすくなるでしょう(とはいえ、下院はまだ握られているため、法案成立に苦労する状況は変わりありませんが)。もともと経済活性化への打ち手が素早い米国ですが、その動きがより速く力強いものになることに期待したいものです。
一方で、インフレによる国民生活への影響はいまだに大きく、バイデン大統領の支持率自体は回復していません。今回の結果を招いたのは、民主党への信任ではなく、共和党に対する疑念だと考えられます。2024年の大統領改選がどのような結果になるのか、中間選挙の結果だけで判断することは難しそうです。
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