ジョー・バイデン大統領は、議会の合同会議での演説で、キャピタルゲイン増税を発表しました。
キャピタルゲインへの増税は、投資を行う富裕層からの税収を増やします。増税案を指示する議員たちは、この増税により所得上位1%の人々の納税額が増え、所得格差の是正につながると主張しています。一方、与党民主党内の一部議員を含む反対派の人々は、景気が悪化しているこのタイミングで増税することで、経済成長の鈍化や株価の下落を招く恐れがあると抵抗を感じています。
バイデン氏は「アメリカン・ファミリーズ・プラン」と称した、格差解消のための大規模な法案を発表しています。これには以下のような案が含まれています。
・所得税の上限税率を39.6%に引き上げる
Webメディア『Axios』によると、この変更によって影響を受けるのは、2022年の所得が個人の場合は45万2700ドル、夫婦の場合は50万9300ドルを超える人々です。この案はバイデン氏が大統領選挙中に公約していたことです。
・100万ドル以上の所得を得ている人は、短期投資・長期投資を問わず、すべてのキャピタルゲインに39.6%の税を課す
現在、長期投資のキャピタルゲイン税率は20%で、倍近い税率への引き上げです。これに3.8%の純投資所得税(NIIT)も加わるため、税率は43.4%に。さらに州の所得税を加えると、税率は48%にもなります。
・相続する資産のうち、購入時から100万ドル以上値上がりしているものは、相続時にキャピタルゲイン税が課される
現在の相続制度では、相続人の資産の取得価格は相続時の市場価格にリセットされます。親が大昔に10万ドルで買った物件が200万ドルに値上がりしていたとして、相続した子が200万ドルで売却した場合にはキャピタルゲインは0ドルだとみなされ、税がかかりません。この変更が承認されると、相続時に190万ドルのキャピタルゲイン税が課されます。※これらの案はまだ検討が始まったばかりであり、数字や規定は、変更される可能性が高いのでご注意ください。
バイデン氏のキャピタルゲイン増税が議論を呼ぶ理由として、増税に直面する世帯はわずか0.7%、ほぼすべての負担は1%の富裕層だけが負うことになるからです。また、ペンシルバニア大学ウォートンビジネススクールの分析によると、キャピタルゲイン税率の引き上げは、資産の売買を妨げ、連邦税収を2022年から2031年の間に330億ドル減少させる可能性がある結果を発表しています。もう一つの懸念として、増税によって新しいビジネスの創出が妨げられることが挙げられます。
Realtor.comが発表した5月8日までの週の市場のデータによると、販売リストに掲載されている全住宅の価格の中央値は昨年より15.2%上昇、39週連続で2桁の価格上昇を記録しました。昨年5月の前年同月比は1.6%だったため、上昇率が大幅に伸びています。
住宅リストの中央値は過去最高で、4月には全米の中央値が37万5千ドルに達しました。このまま価格上昇が鈍らなければ、住宅購入者にとって住宅購入のハードルはますます大きな課題となるでしょう。
住宅需要の回復は、供給の回復よりもはるかに早く続いており、住宅ローン金利の上昇を受けて買い手が活発、住宅の売れるスピードが早くなっています。そのため、住宅市場はまだ相対的に供給不足であり、これから2021年の夏までの期間は、住宅の成約ペースが最も早くなると予想されています。新しく売りに出された物件数は昨年同時期と比べて5%増加、直近4週間は18%以上、増加しています。
このように新規物件の増加が続くと、春の住宅購入シーズン後半に向けて大きな数字が期待できると予想されています。
住宅販売シーズンの真っ只中、新規の売り手が回復してきたことは、住宅の買い手にとっては喜ばしいことです。
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