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アメリカ不動産アカデミーVol.37 バイデン氏が掲げた「世代に一度の投資」とパンデミック後の住宅市場の変化(2021年4月5日時点)

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2021.04.04

 

バイデン大統領 インフラ整備に255兆円を投資

バイデン大統領は3月31日、インフラ整備に約2兆ドルを投じる経済対策を発表しました。大統領は、3月11日に1.9兆ドル規模の「2021年米国救済計画法(主に新型コロナウイルス対策)」にサインしたばかりで、立て続けに巨額の投資を行うことに賛否の声が上がっています。

このインフラ計画では、数千マイルの道路の近代化、数千本の橋梁の修理、ブロードバンド回線の拡大、飲料水を運ぶパイプの交換などが含まれます。バイデン氏はこの計画の特徴を、「表面をいじくるだけの計画ではない」「州間高速道路システムと宇宙開発競争を数十年前に構築して以来の大きな投資」「第二次世界大戦以来最大のアメリカの雇用投資」等の言葉で表現し、その規模を抜本的な姿勢を強調しました。なかでも“once-in-a-generation investment in America(アメリカにおいて、一つの世代に一度きりの投資)”という言葉が注目を浴び、多くのメディアに取り上げられています。

建築業界はこの計画の恩恵が大きいと考えられますが、実現にはハードルもあります。実施には議会での承認が必要ですが、野党・共和党は「(バイデン氏が財源として挙げた)企業増税は経済の停滞と下降を招く」と強く批判。財政界からも、投資自体は支持するものの増税には反対するという声が上がっています。

パンデミック後の住宅市場の5つの変化

不動産仲介を行うRedfin社によると、米国の住宅販売価格の中央値前年比17%増の330,250ドルとなりました。これは過去最高の価格水準で、増加率の観点でもRedfinがデータを取得しはじめた2016年以来最大の記録です。

1.住宅ローン金利がもとに戻ると、住宅価格の上昇速度が抑えられる
低金利下の今、住宅価格が急上昇しています。本来、景気がよくなると住宅価格も上がる傾向にありますが、経済が回復すると住宅ローン金利も元の水準に戻ると予想されます。家を買おうとする人は今より減ると考えられ、住宅価格の上昇速度も抑制されると予想できます。

2. 中古住宅の売り物件数が増える
パンデミックの最中は、住宅オーナーは家を売りに出したがりません。内覧等でウイルスとの接触することを避けるためです。しかし、ワクチン接種率が上がるとその心配が小さくなります。住宅価格が高く、金利も低い今のうちに売却してしまおうと考える人が増えるはずです。

3. マンション市場が再加熱する
マンションは不動産のなかでもパンデミックによるダメージを大きく受けたカテゴリです。人との接触が多いため買い手から嫌煙され、結果的に価格も下がっていますが、感染が収束すれば価格も回復すると予想されます。下落幅が大きい分、回復幅も大きいと予想できるため、マンションは今が買い時と言えるでしょう。

4. 郊外の都市化が進行する
パンデミックが終わってもリモートワークは続くかもしれませんが、外で昼食やコーヒーブレイクを取り始めます。これにより、郊外の経済が活性化し、店舗の郊外移転が加速します。たとえば、スターバックスは郊外に新しい店舗を開く一方で都市部の店舗を閉鎖しています。都市部の小規模企業は郊外の小規模企業よりも景気回復が遅い傾向にあり、郊外と都市部の差が埋まっていくことが予想されます。

5.短期賃貸の賃料が急速に上昇する
住宅価格が上昇したため、家を買うのは高すぎると考え賃貸に住む人が増え、家賃が上昇すると予想できます。特に、オースティンやアトランタのような移住先として人気が出たエリアは、パンデミック収束後により多くの人々が移り住んでくるため、家賃はより急速に上昇します。 リモートワークが浸透したことでノマド的に各地を渡り歩く働き方をする人が増えており、短期賃貸は特に人気が出るでしょう。

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