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インフレが著しいアメリカですが、家賃の上昇は収まりつつあるようです。
Redfinの小会社のRent社が運営する、ミレニアル世代向けのアパート検索エンジン『Rent.com』の調査によると、全米の家賃の中央値は2022年8月の2,053ドルをピークに低下傾向で、2023年2月には1,937ドルまで下がっています。不動産データベースのZillowのデータでも、22年9月の1,987ドルから23年2月の1,976ドルへと微減しており、同様の傾向が見られます。
とはいえ、家賃水準は2021年初頭から2022年後半にかけて17~18%ほど上昇したことを考えると、直近の低下幅はほんの誤差程度。ぬか喜びにならないようにと警戒する方もいるかもしれませんが、背景を考えるとこの家賃低下トレンドには、ある程度の信頼を置いても良さそうです。
その背景とは、賃貸物件の供給数が今後増えることが確実だからです。
ここのところの家賃の急騰は、需要と供給のバランス崩れによるところが大きいと言われていました。自宅勤務の増加でより良い住環境のニーズが高まっているにもかかわらず、金利上昇で住宅ローンのハードルが高まったことで、賃貸物件の需要が増加。一方、供給はコロナ禍とインフレによる建築の遅れと、住宅所有者の売り渋りによって、新築・中古ともに不足傾向にありました。
しかし、労働者の確保が進んだことで新築の着工件数が回復しつつあります。米国住宅都市開発省と米国国勢調査局の共同レポートによると、建築許可証の発行数と実際に着工した件数はともに前月比10%前後。さらに前年同月比でも、着工件数は減少しているものの、着工戸数は12.8%増加しています。
住宅開発会社もローン金利高により住宅販売が伸びにくい状況を踏まえ、建設済みの販売用物件を賃貸用に変更したり、集合住宅の開発計画を増やすなど、賃貸供給にシフトしはじめています。こうした状況を受け、アメリカの不動産関係者の多くは、これから長期的に家賃が下がっていくであろうという発言しています。
米国不動産を賃貸物件として運用している(しようとしている)人にとっては、家賃収入が減少するか、減らないまでも増収しづらい状況になるかもしれません。特に、これから開発が進み、近隣に新しい物件がどんどん建つような地域では競争が激化するでしょう。一方で、すでにある程度開発されている地域では、供給量が急増することはありません。また、人口が増えている地域であれば、賃貸供給が増えても需要も増加するので、家賃水準は高く保たられるはずです。
エリアだけでなく、価格帯も重要です。低価格帯の物件の場合、価格が最優先の入居希望社が多いため、家賃競争が激化しがちです。一方、中・高価格帯の物件の場合、設備や内装にもこだわる人が増えるため、特色のある物件であれば競争を免れることもしばしばです。
家賃が低下していくだろうという見方は、あくまで全米の傾向。物件ごとの特性を見極めた上で、家賃の調整や売却などの打ち手を考えたいものです。
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