アメリカの有権者の構成割合に変化が起こっています。この事実は多くの人が指摘するところですが、その中でもフロリダ大学の政治学者マイケル・マクドナルド氏は確固たるエビデンスを元に調査研究を行うことで知られています。マクドナルド氏は、国勢調査データを元に有権者の属性を、年齢、人種・民族、学歴、居住地などによって分類し、各属性の人々の数と投票率を分析しています。
彼の研究によると、かつて有権者のなかで最大勢力だった白人労働者(学位を持たない白人)は、1970年代以降一貫して人口シェアが減少し続けています。その代わりに人口シェアを拡大しているのが、非白人と学位を持った白人です。マクドナルド氏は、人口動態に関するこの変動傾向は、今後10年間でさらに加速するだろうとも指摘しています。
多様性を尊重する国柄、非白人が増えることは自然ですし、先進国で平均学歴が上昇するのも一般的な傾向ですので、この傾向は驚くべきものではありませんが、肝を冷やしている人々もいます。
それは、白人労働者を支持基盤とする共和党員です。保守政党として白人優位な政策を行う傾向にある共和党は、その政策で不利益を被ることが多い非白人や、リベラルな思想を持ちがちな高学歴層からの支持は芳しくありません。
今のところ、ブルーカラーの白人の投票数の減少速度は緩やかなため、2016年のトランプ大統領の勝利や2022年の中間選挙での下院議席過半数獲得など、まだ対等に戦えています。しかし、この傾向がますます加速すれば、パワーバランスが崩れる可能性も十分にありえます。
10年後には、大学進学率の高い(つまり、共和党の支持者が少ない)ミレニアル世代とZ世代が人口の過半数を占めるようになるとも言われています。そうなったとき、アメリカは二大政党制を保ち続けられるのでしょうか? 結果が出るまでにはまだ時間がかかるものの、読者のほとんどは10年後もご存命なはずです。大きな社会変革も警戒しつつ、未来に備えましょう。
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