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アメリカで準大手金融機関の普通預金額が減少。投資商品や新興の金融サービスに流出。

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2023.04.27

【この記事のポイント(Insights)】

  • 2023年4月17日の四半期決算発表で、金融機関の普通預金額が減少していることが明らかに。
  • 預金が減った理由は、「金融不安」「インフレ」「高金利口座」などがある。
  • 預金離れの傾向は、今後もしばらくは継続すると考えられる。

約600億ドルの預金が四半期で流出

アメリカの大手金融の顧客たちが、預金を引き出しているようです。

4月17日、多くの金融サービス会社が第1四半期決算を発表しました。そのうちの1社であるチャールズ・シュワブ社では、顧客預金額が3月31日時点で3257億ドルになり、昨年末比で11%減、前年比では30%減と大きく減少。また、ステート・ストリート社は5%減、M&T社も前期比3%減と目減りしています。3社が失った預金総額は約600億ドルに達し、資金移動が一過性のトレンドではないことが伺えます。

ではなぜ、アメリカの人々は今のタイミングで預金を動かそうとするのでしょうか? 考えられる理由として、「金融不安」「インフレ」「高金利口座」などが挙げられます。

預金離れを招く、「金融不安」「インフレ」「高金利口座」

1.「金融不安」

これは、当サイトでもご紹介した2023年3月に起こった銀行の連続破綻が影響しています。日本でも大きく報じられたシリコンバレー銀行の破綻やクレディ・スイスの買収のインパクトは大きく、多くの人々が資産を安全に保有する方法を検討し始めました。特に、オンライン証券に強みをも持つシュワブは、シリコンバレー銀行やシルバーゲート銀行と性質が似ていると判断されたのか、これらの破綻直後から預金引き出しが目立ちました。

2.「インフレ」

インフレ(物価上昇)は、現金価値の低下と同義です。日常的に使用する金額はともかく、余剰資産は現金以外の資産に変えておくほうが有利です。そのため、インフレ時には預金が減り、不動産や金融商品への投資が増える傾向にあります。預金額が大きく減少したシュワブも、投資商品の販売はむしろ好調で、コア純資産は第1四半期で1,320億ドル増加しています。

3.「高金利口座」

日本では長らくほぼゼロ金利が続いていますが、アメリカの預金金利もそれほどではないにせよ低い水準にあります。2023年4月現在、米4大銀行の普通預金金利はバンク・オブ・アメリカが0.02%、JPモルガン・チェース銀行、ウェルズ・ファーゴ銀行、シティ銀行はいずれも0.01%です。
しかし、高い金利で顧客を集める新興の口座サービスがいくつか登場しています。アメリカンエクスプレスが提供するハイイールド普通預金口座は3.75%、ゴールドマン・サックスのMarcus が3.9%、そして4月17日にリリースされたアップルの「Wallet」アプリが4.15%などです。これらの利率は、人々に預金を移動しようと思わせるのに十分な金額です。

3つの理由のうち、少なくとも2つは今後も継続

金融不安がいつまで続くかは分かりませんが、インフレと新興の金融サービス参入は今後もしばらく続くものと考えられます。今のところ、銀行運営に支障をきたすほどの預金引き出しが起こるとは考えにくい状況ですが、資産は預金として寝かせるよりも運用するほうが良いと考える人が増えているタイミングなのもまた事実。預金離れ傾向がさらに加速するかもしれませんね。

 

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