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つなぎ予算案を巡って米国議会が混乱。共和党一色の議会も一枚岩とは言えず。

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2024.12.26

1.政府機関閉鎖を回避するための「つなぎ予算」を巡り一悶着

2024年12月、米国議会では政府機関の閉鎖を回避するためのつなぎ予算案を巡り、激しい議論が繰り広げられました。現在、上下両院ともに共和党が多数派を占め、大統領職も共和党が掌握している状況下では、通常であれば議論はスムーズに進むはずでした。しかし、党内での意見対立が表面化し、法案成立までに多くの困難が伴いました。

つなぎ予算とは、本予算が成立するまでの間、政府機関を一時的に運営するための資金を確保するための措置です。今回のつなぎ予算は、2025年3月14日までの運営資金を確保する内容で、超党派の法案として提出されました。

しかし、この法案は早々に「クリスマスツリー法案」と批判されました。この表現は、法案に多くの無関係な条項が盛り込まれた状況を指します。特に、ハリケーン被害への援助資金や農村地域への支援政策が含まれており、これらが法案成立の妨げになる可能性が指摘されました。共和党が上下両院を掌握し、次期政権も共和党主導であるにもかかわらず、党内の財政保守派とトランプ次期大統領派の間で意見が対立。一時は法案成立が危ぶまれる状況に陥りました。

下院議長マイク・ジョンソン氏(共和党)が提出した初期案は、ドナルド・トランプ氏をはじめとする一部の共和党議員や保守派団体からの支持を得られませんでした。結果として、法案の内容が修正され、債務上限の引き上げ条項を削除することでようやく上下両院を通過しました。

2.イーロン・マスクの影響力が浮き彫りに

今回の議論の中で注目を集めたのは、実業家イーロン・マスク氏の発言です。マスク氏は法案に対し「無駄な歳出を抑えるべきだ」と自身のSNSで表明し、その影響力で共和党内の議員の一部が彼の意見を支持しました。この動きは、共和党内の結束にさらなる亀裂を生む要因となりました。

マスク氏は、すでに次期政権の政策立案に影響を与える存在として注目されています。彼の発言は、経済政策だけでなく、エネルギー政策や技術革新分野にも波及しており、特に共和党内の自由市場主義派や保守派議員からの支持を集めています。トランプ次期大統領との関係も深く、今後さらにその影響力が増すと予想されています。

共和党が議会を掌握しているにもかかわらず、内部の意見対立が顕在化した今回のつなぎ予算を巡る騒動は、アメリカ政治の複雑さを象徴するものでした。次期政権がこれらの内部対立をどのように乗り越え、政策を実現していくのかが注目されています。

 

 

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