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GAFA(Google、Amazon、Facebook ※現在の社名はMeta、Apple)をはじめ、ビッグテックと呼ばれる企業の多くが成長速度を鈍らせています。10月末に行われた各社の四半期決算では、Googleが営業利益が前年同期比19%減、当期純利益が同27%減となったことを報告。Metaに至っては、純利益が52%減に。両者とも、売上高こそ微増しているものの、利益構造に問題が生じていることは明らかです。
かつては成長企業の代名詞であった彼らが、なぜ今こんなにも苦しんでいるのでしょうか? アメリカの識者たちが理由として挙げることが多いのが、以下の3つです。
1.利上げによる投資の鈍化
2.欧州のDMA(≒独占禁止法)
3.新規ビジネス開拓の遅れ
それぞれご説明します。
まず、利上げです。あらゆる産業に影響を与えている利上げですが、ビッグテックは特に多くの影響を受けています。テクノロジー企業は一般に、伝統的な企業に比べて多くの事業投資が必要と言われています。優れた人材(特にエンジニア)を奪い合うための人件費や福利厚生費への投資、自社と親和性のあるビジネスや技術を買うためのM&A投資、最新の機材を揃える設備投資、新しいビジネスを生み出すための研究開発費など、様々な投資が必要だからです。
多くの場合、これらの投資資金は自社の株価を担保にした借り入れによって賄われます。しかし、金利が上がると債券利回りが上昇するため、株に集まる投資市場に集まるマネーの絶対量が減ってしまいます。ビッグテックの株価も下がるため、担保価値も低下し、借り入れに影響が出ます。もちろん、金利上昇により返済負荷も大きくなります。
こうして、ビッグテックは成長のエンジンである各種の投資を削らざるを得なくなります。成長が鈍ると株価はさらに低下し、借り入れ条件もなお悪くなるという負のスパイラルも発生し、やがて業績悪化へとつながってしまうのです。
2つめは、11月1日、EUでついに施行されたDMAです。Digital Markets Act、日本ではデジタル市場法と翻訳されるこの法案は、しばしば「デジタル版の独占禁止法」と表現されます。
この法案は、ユーザーを囲い込み得る力を持つプラットフォーマーをゲートキーパー(門番)の権力を削ぐことを目的にしています。ゲートキーパーの代表例としてよく挙げられるのが、Apple StoreやGoogle Playなどのアプリストアです。AppleやGoogleはアプリストアのなかで自社製アプリを優遇したり、他社製アプリに自社の決済サービスを使うことを強制したりすることができます。また、アプリストアからWebブラウザへリンクできないようにすることや、特定のアプリをアンイストールできないようにすることも可能です。DMAはこれらを不当な独占であるとみなし禁止します。FacebookやTwitterなどのSNSや、Amazon PrimeやNetflixなどの動画配信サービス、Webブラウザや広告配信プラットフォームなどもゲートキーパーとみなされ、規制の対象に含まれます。
DMAにより、プラットフォーマーはユーザーを囲い込みにくくなるため、1人のユーザーから挙げられる収益が低下し、売上が低下すると予想されています。また、DMAと同時に施行されたDSA(Digital Services Act デジタルサービス法)は、情報の透明性担保を義務付けたもので、顧客情報の取扱いの自由度が下がります。個人情報を活用する広告事業への影響が特に大きく、広告への依存度が高いYoutubeやFacebookにとっては大打撃となる見込みです。
最後の1つは日本人からすると要求が高すぎるようにも思えるのですが、新しいビジネスを生み出せていないことです。
常に新しいサービスを提供しているように見えるビッグテックですが、識者たちは自社のビジネス構造を変革するほどの”破壊的な”ビジネスを生み出せていないと指摘します。彼らに言わせれば、GoogleとMetaは創業時から今までずっと広告販売に依存しており、その広告収益もTikTokなどの新しいプレイヤーに脅かされています。Appleも発売15年が経ったiPhoneが未だに主力商品のままで、次の看板が登場していません。
各社も挑戦していないわけではありません。Metaが社名変更してまでメタバースにかけ、数十億ドルの予算を投じているように、新しいビジネスを創り出そうともがいています。しかし、現状それらはまだ実を結んでいません。理由1で挙げた利上げによる投資減速もあり、状況はますます悪くなっています。
景気活性化のためにはビッグテックの復権を期待したいところですが、経済環境からするとまだ時間がかかるのではという見方が優勢です。値下がりした株を買い集めるのなら、時期を見極めましょう。
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