2024年2月29日、ブラジルのサンパウロで開幕したG20財務相・中央銀行総裁会議で、超富裕層に対する課税についての議論が行われました。
議論のきっかけとなったのは、フランス出身の経済学者でEU Tax Observatory(EU税監視組織)のディレクターを務めるガブリエル・ズックマン氏のスピーチです。ズックマン氏は、カリフォルニア大学バークレー校の経済学部教授でもあり、国際的な富の隠蔽や税逃れに関する研究を行っていることでよく知られる人物です。
ズックマン氏は、自身も参加した調査「Global Tax Evasion Report 2024(国際的脱税レポート)」のデータを引用し、超富裕層に課せられている税率が非常に低いと指摘し、新しい税制制度の必要性を訴えました。
レポートでは、超富裕層は一般市民よりも税対策の方法が多く、規模も大きいため、実効税率が著しく低く、所得の0~0.5%ほどであることに言及。「最も納税能力が高い個人」が、「平均的な労働者」よりも税負担が軽いことを批判するとともに、富の再配分の機能不全や、政府債務増にもつながっているとも主張しました。
そうした状況に対し、ズックマン氏が提案するのは、超富裕層が支払うべき最低税率を決め、国際的に協調することです。スピーチのなかで彼は、例として2%という数字を提示しました。 具体的なアイデアは以下です。
これにより年間2,500億ドルが生み出される可能性があると推定されるとのことです。国により税制が大きく異なるなかで、これを実現するのは容易ではありませんが、G20議長国はスピーチを受け、ズックマン氏らにさらなる研究を依頼。超富裕層への課税の議論は一歩前身しました。
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