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8月頭、米株式市場は混乱。ISM製造業指数(PMI)低下を警戒か。

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2024.08.09

1.数字に表れる、米国製造業の縮小傾向

2024年8月、米国の株式市場は大荒れのスタートとなりました。1日、利下げへの期待から上昇してスタートした株価は、その日のうちに反落。一時253ドル高となったダウ平均は744ドル安まで下落し、少々戻したものの494.82ドル安(-1.21%)で着地しました。翌2日には日経平均も歴史的な下げを記録しましたね。

この利下げ期待を打ち消すほどのネガティブ要因になったのは、リセッション(景気後退)への懸念です。なかでも、ISM製造業指数(PMI)が4ヶ月連続で50を切っていることについて不安視する投資家が少なくないようです。PMIは、米国の製造業セクターの経済活動を評価するための指標で、受注件数、生産量、雇用、仕入れ、在庫などをそれぞれ評価して算出されます。偏差値のように50が基準で、50より大きければ製造業セクターが拡大していることを、50未満であれば縮小していることを示します。2024年7月のPMIは前月より1.7ポイント低下した46.8で、アナリスト予想の48.8を大きく下回りました。

2.リアルタイム性の高さゆえに、未来の景気を占う材料に

製造業は米国にとって非常に重要な産業です。経済規模はGDPの約12%、雇用面では全産業のの約8.5%を占めています​。また、外貨獲得源としても極めて重要で、総輸出の約60%が製造業によるものです。そのため、米国全体の景気に及ぼす影響が非常に大きいとされています。

またPMIは、GDPなどに比べ、景気をリアルタイムに反映するとも言われています。これは、製造業の購買担当者に対する月次調査を基にしているためで、経済活動の即時的な変化を捉えることができます。このことから、PMIは近未来の景気を占ううえで重要な指標とされています。

現在のPMIの低迷には、地政学的リスクによるサプライチェーンの混乱や、インフレによる購買量低下などさまざまな要因が絡んでいますが、一部の投資家たちはFOMCの利下げ判断の遅さも一因ではないかと批判しています。金利の高さは、企業の借入コストを増加させ、人件費や設備投資、新規事業へのチャレンジなどを妨げるためです。

数字からも明確に分かる不調に陥っている米国の製造業。この不調が、米国経済にまで広がらないことを願うばかりです。


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