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23年9月の住宅販売保留件数はわずかに増加。

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2023.11.24

アメリカの住宅販売数に回復の兆し

NAR(全米リアルター協会)が2023年10月26日に発表したデータによると、9月の住宅販売保留件数は8月から1.1%増加しました。

住宅販売保留件数(Pending Home Sales)とは、契約途中の販売取引件数です。契約が完了していないため、正式な販売数とは異なるものの、その大部分は後々に契約が成立すると考えられるため、近い将来の住宅市場を予想するうえで重要な指標です。アメリカでは、住宅の販売契約に40~60日程度かかることが多いため、販売保留件数は2ヶ月後の販売数と強い相関があります。

今回の伸びはわずかな数字でありますが、関係者らはこれを好材料と捉えています。なぜなら、住宅ローン金利の高さは、懸念されたほどには買い手の購入意欲を削がないと分かったからです。住宅販売保留件数は、6,7月と増加傾向にありましたが、住宅ローン金利が7%を超えた8月、マイナス7.1%と大幅な落ち込みを記録しました。9月の住宅ローン金利は8月から下がっていませんが、販売状況は好転しはじめています。

住宅ローン金利は、買い手よりも売り手の行動を変える

とはいえ、9月の住宅販売保留件数も、前年同月比で見ればマイナス11%とまだまだ低い水準にあります。

これは、依然として少ない在庫の影響が大きいと考えられます。買い手がどんなに家を欲しがろうと、売り物がなければ販売不可能だからです。そして、在庫が少ない原因を考えると、結局は住宅ローン金利の高さに行き着きます。

米国ではローンが残ったまま次の家に住み替えるのが一般的で、中古住宅在庫が豊富なのもそのためです。しかし、低金利のタイミングで家を買った人々は、今住み替えようとすると高金利のローンを組むことになるため、断念して現在の家に住み続けます。結果、その物件が売りに出なくなり、在庫が増えません。

住宅ローン金利の高騰は、買い手の購入行動よりも、売り手(所有者)の販売行動に大きく影響しているのです。NARは、30年固定住宅ローン金利は23年内に平均6.9%、翌24年には平均6.3%まで低下すると予測しています。この予測が現実になり、かつ売り手がそれに反応すれば、在庫不足は少しは解消するかもしれません。


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