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「コーヒー・バッジング」 「静かな解雇」「静かな採用」パンデミック以降の働き方を示す新語集

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2024.07.29

【この記事のポイント(Insights)】

  • アメリカ人のうち、コーヒーバッジング(出社後コーヒーを飲んだらすぐにオフィスを出る)を経験した人の数は50%に達する。
  • コーヒーバッジングはパンデミックを機に生まれた新語だが、同様の時期に生まれた新語は他にもたくさんある
  • そのうち、静かな退職 / 静かな雇用 / 静かな採用 / 不満グセ / 最低限しかしない月曜日 / 怠け者の仕事 / 怒涛 の応募について解説

コーヒーを飲んで出勤アピール。飲み終えたら自宅やカフェへ。

「コーヒー・バッジング:Coffee Badging」という言葉が、どんな行動を指すかご存知でしょうか? とあるビジネスメディアが紹介したところ、日本ではあまり考えられないその行動が話題を呼んでいます。

その行動とは、出社後、同僚とコーヒーを飲み、その後すぐ退勤して自宅やカフェで業務に取りかかるというものです。Badgingは「バッジを付ける」という意味です。映画に出てくる米軍人の階級バッジや撃墜バッジに代表されるように、アメリカでは能力や実績を示すためにバッジを用います。コーヒーブレイク中のコミュニケーションによって自分の存在感を示し、同僚や上司、そして会社に対して「確かに出社していた」とアピールする様がバッジを誇示するようであることから、コーヒー・バッジングと名付けられました。

パンデミックによりリモートワークが一般化したアメリカですが、事態が収束すると多くの企業がオフィス回帰の方針を打ち出しました。RTO(リターン・トゥ・オフィス)という略称が一般化するほどのムーブメントになっていますが、リモートワークの利点を知った従業員たちは強く反発しています。コーヒー・バッジングは、出社せよという会社の要求を満たしつつ、実務を行う場所は自身の働きやすさを重視したいという考えから生まれた行動です。ビジネスSNS「LinkedIn」の調査ではアメリカでは約50%の人がコーヒー・バッジングを行ったことがあり、そのうち19%は今も継続して行っているそうです。

日本人の感覚からすると、譲歩しているというよりは当てつけのように見えて心配になりますが、傍目にはおもしろい習慣ですね。コーヒーバッジングの他にも、パンデミック以降に一般化したビジネス上の新語がいろいろとありますので、その一部を紹介します。

 

1.静かな退職:Quiet Quitting

従業員の仕事への向き合い方を示す言葉で、最低限の仕事だけをこなし、それ以上の努力を避ける行動を指します。昇進や昇給も目指しません。日本でいう「悟り世代」も同様の特徴があるとされていますが、「静かな退職」の場合は世代を問いません。
Quittingは「やめる」で、文脈によって「退職」「引退」等の意味も持ちます。

 

2.静かな解雇:Quiet Firing

公式に解雇するのではなく、従業員に辞めるように仕向ける行動を指す新語。仕事量を減らす、昇進の機会を与えないなどの方法が取られます。大昔から「追い出し部屋」や「窓際族」という言葉がある日本人からすると何を今更という感もありますが、比較的解雇がしやすいアメリカでは以前はそれほど多くなく、パンデミック以降になって急増したそうです。パンデミック回復期の雇用過熱によって従業員が過剰になったこと、リモートワークにより一人の管理職がマネジメントできる部下の数が減ったこと、業績不振により人件費はもとより解雇費用も節約したいことなどが重なった結果、費用をかけずに従業員を減らせる「静かな解雇」を試みる会社が急増したそうです。米国ではアンフェアで非道な手法だとして強く批判されています。

 

3.静かな採用:Quiet Hiring

こちらは比較的ポジティブな言葉です。外部からの新規採用を控え、既存の従業員を新しい役割に配置する戦略を指します。燻っている人材が配置換えにより活躍できるようになれば、本人のキャリアにとっても、会社の人件費効率にとっても好ましいことです。ただし、事業領域を絞っていて従業員数を切り詰めているベンチャー企業では実施しにくく、人材とポジションがともに潤沢な大手企業だからこそ可能な手法と言えます。

 

4.不満グセ:Resenteeism(リセンティズム)

職場への不満をあらわにしながらも、仕事を辞めずに続けることを指します。「不服に思う」ことを意味するResentと「病気でありながら出勤すること」を指すPresenteeismを掛け合わせた造語。仕事を辞めないという点では静かな退職と似ていますが、不平不満を撒き散らす点でより有害な存在です。 もととなったPresenteeismも歴史の浅い造語で、Absenteeism(欠席グセ:「Absent(不在)」+「-ee(〜される人)」+「-ism(状態や行動を示す接尾辞)」)のAbsentをPresent(出席)に変えた言葉です。

 

5.最低限しかしない月曜:Bare-Minimum Mondays

週の始まりである月曜日に、最低限の仕事だけをこなすというスタイルを示す言葉。生みの親であるTikTokのコンテンツクリエイターであるMarisa Jo Mayesは、月曜日に生産性が上がりにくい自身の特性を受け入れ、月曜日はあえてゆっくりとしたペースで仕事を始めることで、週全体のパフォーマンスを高められたと言います。Bareは裸と訳されることが多いですが、最小限という意味もあります。同じく最小を意味するMinimumと重ねることで、意味を強調してます。

 

6.怠け者の仕事:Lazy Girl Jobs

ストレスが少なく、バランスの取れたライフスタイルを維持できる仕事。Lazyは「怠け者」を意味するため、女性蔑視的な言葉にも思えますが、実際には女性が生み出し女性から指示されている言葉です。TikTokインフルエンサーのAnti Work Girlbossが、仕事より人生の充実を重視する自分たちをブランディングするために作り出しました。あえて否定的な言葉を用いることで注目を集めつつ、自分たちは従来の価値観に囚われないことをアピールしています。

 

7.怒涛の応募:Rage Applying

現在の職場への怒りや不満から一時的に多くの求人に応募する行動を指す言葉です。パンデミックにより、採用フローの大部分がオンライン化したことで、応募のハードルが下がり、複数企業の選考を同時並行で進めやすくもなりました。結果、衝動的な応募が増えているのだそうです。応募者は多くの企業と、企業は多くの応募者と接点を持ちやすくなった反面、1つ1つの接点がカジュアルになってしまうというデメリットもあり、賛否が分かれています。

 

以上、コーヒーバッジングほか7つの新語のご紹介でした。言葉ひとつからも、アメリカの働き方(雇い方)の変化が垣間見れますね


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