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【アメリカ確定申告】知っておきたい基礎知識 「第2回:アメリカ不動産購入をしたらまず初めに行う税務手続き」

作成者: 海外不動産Insights 編集部|2020.11.09

はじめに
第1回目の記事でもお伝えしましたが、アメリカ不動産は日本居住の個人や日本法人名義で購入をすることが可能です。個人・法人どちらの場合も、決済手続を終えたらまず行う税務手続きがございます。本日は個人オーナーが物件購入を終えたらまず行う税務手続きの1つである、納税者番号申請についてお伝えします。

納税者番号の申請

アメリカで経済活動を行い、確定申告を行う必要がある人は、アメリカにおける個人を特定する番号(日本でのマイナンバーにあたる個人番号)が必要です。初めてアメリカ不動産をご購入された場合、多くの方はこの番号をお持ちではないと思いますので、まずはこの番号を取得頂くことになります。 過去アメリカに居住されていた方で、SSN(社会保障番号、”Social Security Number”の略)を持っている人は、SSNを確定申告で使用できますので、新たな番号の取得は不要です。

SSNをお持ちでなく、日本居住でアメリカ不動産投資をしている方には、ほとんどのケースでITIN(納税者番号、Individual Taxpayer Identification Numberの略)という番号を取得頂く事になります。 納税者番号は、アメリカの税務署(IRS、アメリカ内国歳入庁)から直接発行される番号です。日本から納税者番号を申請する手続きは税務署から認定されたAcceptance Agentを通じて申請をするのが一番スムーズです。このAcceptance Agentは日本に数社あり、連絡先は税務署のホームページから確認が可能です。(https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/acceptance-agents-japan)

納税者番号申請手続きは、日本から申請書類を税務署へ郵送します。その後、税務署が納税者番号通知を各納税者へ郵送します。このように、日本とアメリカでの書類のやり取りが発生するため、郵送にかかる時間も含めると申請から番号発番まで2か月~3か月程度かかります。しかしながら、直近ではコロナ禍により発番手続きが遅延しており、番号を受け取るまで6か月程度を要しています。

納税者番号を申請しなかったら

納税者番号を持たないことが、アメリカ不動産オーナーにどのような影響がでるのでしょうか。不動産購入時にすでにテナントがいる場合は、通常、決済日から賃料収入を受け取ることができます。しかし、納税者番号がない場合、アメリカの税務上問題が生じるため、当該賃料収入は管理会社にて留保されてしまいます。よって一日でも早く賃料を受け取るべく、物件購入手続きを終えたら速やかに納税者番号の申請をすることをお勧めいたします。

また、納税者番号がないとアメリカでの確定申告ができません。アメリカで源泉徴収された税額につき還付申請を行う際も、納税者番号がないと還付申請ができません。別の回でくわしく述べますが、アメリカ不動産を売却する際には、アメリカ税制度により、物件売却額の一定のパーセンテージが一度源泉徴収されてしまうため、売却年は還付申請をすることが多いです。

渡航費は、アメリカへ行って契約をする、物件を購入するためにアメリカへ行った、あるいは購入後所有する物件の修繕をするためにアメリカへ行ったなど、物件を維持するための渡航であれば経費として認められますが、視察費は経費として認められません。このように、納税者番号がないとアメリカで必要な税務手続きが全てできないため、納税者番号の申請は必ず行って頂くこととなります。

納税者番号更新手続き

名前や国籍に変更があった場合、納税者番号の情報を更新する必要があります。変更手続きは確定申告と同時に行うことが一般的です。そのため、確定申告を依頼する専門家に変更の旨をお伝えください。住所のみ変更した場合は納税者番号の更新手続きは不要です。

納税者番号には有効期限があります

納税者番号を取得後、3年間利用しなかった場合は番号が自動的に有効期限切れになってしまうため留意が必要です。番号を利用しないということは、この3年間確定申告をしなかったことが主に考えられます。
例えば、番号が期限切れした後に還付申請をする場合は、再度番号申請から行い、その後還付申請という流れになりますので、通常手続きの倍以上の時間がかかることが予測されます。期限が切れる場合は税務署より事前に通知がありますので、更新が必要な方は速やかに手続きを行ってください。


渡邉聡美
株式会社フェニックスデール 代表
米国税理士

アリゾナ州立大学卒業、会計学専攻
Deloitte Tax LLP ミシガン州デトロイトオフィスにて税務を担当
監査法人トーマツ、金融インダストリーグループにて金融監査を担当
みずほ銀行 国際戦略情報部にて米国会計税務コンサルティングを担当
株式会社フェニックスデール 立ち上げ

米国進出支援事業、米国事業投資、会計支援事業の経験を活かして、米国不動産を専門とした税理士として地位を確立。主に米国確定申告代行業務を行っている。

▼株式会社フェニックスデール公式サイトはこちら
https://phoenixdale.com/

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 第1回:アメリカ不動産を買ったら、日米両方の確定申告が必要

第3回:アメリカ不動産を日本法人で購入した場合の手続き

第4回:個人・法人の税務手続きの違いについて

第5回:アメリカ不動産購入時手続きをしなかった場合、どうなるか?

第6回:どの書類を用いて税務申告するのか(個人)

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