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【アメリカ不動産用語解説】Vol.2「Cash on Cash Return (CCR:キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)」

作成者: 海外不動産コラム 編集部|2020.12.06

Highlights

  • 不動産投資における投資効率を評価する指標「Cash on Cash Return (CCR)」
  • CCRが高ければ投資効率も高いことを意味する
  • CCRを絶対視するのではなく、目安として捉えることも重要

アメリカ不動産の情報を調べたり、記事を読んだりしていると、なじみのない用語を目にすることがよくあります。それらの用語を検索してみても、いまいち要領を得ない…なんて経験はありませんか? しっかり理解するには、アメリカの文化や現地事情への理解が必要な場合も。本シリーズでは、そのようなアメリカ不動産における頻出用語をより詳しく、そしてわかりやすく解説します。


第2回目のテーマは「Cash on Cash Return(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)」。日本語では「自己資本配当率」と訳され、「CCR」という略称で呼ばれることが多いワードについて解説します。

 

CCRって一体、何を表している数字?

「Cash on Cash Return(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)」は不動産投資における投資効率を評価する指標の1つ。投じた自己資金に対する利益の割合を示しており、CCRの数字が高いほど投資効率が高いと言えます。

計算方法としては、「ある物件から得られる年間利益」を「その物件を取得するために支払った自己資金」で割ることで算出されます。

例えば4,000万円の賃貸運用物件を、頭金1,000万円とローン3,000万円で購入。毎月20万円で他人に貸し出し、ローン返済額は毎月10万円と仮定した場合、CCRは以下のような計算になります。

・物件から得られる年間利益:10万円(1ヶ月の家賃収入20万円−1ヶ月のローン返済額10万円)×12ヶ月=120万円

・物件取得のために支払った自己資金:頭金1,000万円+1年間のローン返済額120万円=1,120万円

CCR:120万円÷1,120万円=約10.7%

年間のCCRは約10.7%ということで、これは約10年で自己資金を回収できることを意味します。

また売却益を含めてCCRを計算することも可能です。先程の物件を1年後に購入金額と同額の4,000万円で売却できると想定。その時点でローン元本のうち50万円を返済済みと仮定した場合、CCRは以下のような計算になります。

・物件から得る年間利益:10万円(1ヶ月の家賃収入20万円−1ヶ月のローン返済額10万円)×12ヶ月+50万円(売却額4,000万円-ローン残額3,950万円)=170万円

・物件取得のために支払った自己資金:頭金1,000万円+ローン返済金120万円=1,120万円

CCR:170万円÷1,120万円=約15.2%

こうした計算によって算出されるCCRは、いわば自己資金に対するリターンの大きさを計る、投資効率の参考値になります。物件の購入を検討する際に、CCRを見ておくと物件選びの参考になるはずです。

 

レバレッジ効果を考える上での指標にも役立つ

同じ物件であっても、頭金やローンの比率、返済計画などの条件によってCCRは変わってきます。

先ほど例に挙げた4,000万円の賃貸運用物件を、自己資金100%で購入する場合と、ローン金額を3,500万円に増やし、毎月のローン返済額を11万円とした場合でのCCRを比較してみます。

<自己資本100%の場合>
・物件から得る年間利益:20万円(1ヶ月の家賃収入20万円−1ヶ月のローン返済額0円)×12ヶ月=240万円

・物件取得のために支払った自己資金:頭金4,000万円

CCR:240万円÷4,000万円=6%

<自己資金500万円の場合>
・物件から得る年間利益:9万円(1ヶ月の家賃収入20万円−1ヶ月のローン返済額11万円)×12ヶ月=108万円

・物件取得のために支払った自己資金:頭金500万円+1年間のローン返済額132万円=632万円

CCR:108万円÷632万円=約17.1%

後者の方がCCRは高いことがわかります。自己資金の比率が小さい(ローンの比率が大きい)ほど、CCRは一般的に大きくなります。つまりCCRは、小さな自己資金で大きな収益を得る「レバレッジ」の効果がどれくらいかを考える上での参考指標にもなるということです。

少ない頭金にローンでレバレッジを効かせることで、大きなキャッシュフローを生み出せるのは、不動産投資の魅力の1つ。不動産投資のメリットを最大限活かすためにも、物件選びの際にCCRはぜひ意識しておきたいところです。

 

数字を絶対視するのではなく、指標のひとつとして捉える

しかし、CCRを指標として考える上で、いくつか念頭に置いておきたいポイントもあります。

1つは、金利上昇のリスク。金利が上昇すると、連動して住宅ローンの利息も上がるため、CCRを高めようとローン比率を過剰に高めたような場合には、返済計画が破綻してしまう可能性も。急激な金利上昇はそこまで多いケースではありませんが、度を超えた無理な借り入れは避けたほうが良さそうです。

もう1つは、税金を無視していること。当たり前ですが、家賃収入や売却益には税金がかかるため、最終的な収益性はCCRの数字とズレが生じてきます。CCRだけを追いかけていると、実際以上の収益が得られているように感じてしまうこともあるので、その点も注意が必要です。

このようにCCRを考える際には、単純に数字だけを追うのではなく、外的な要因なども考慮しておく必要があります。

どのような指標も、それ1つだけを絶対視するのはリスクがあります。今回ご紹介した「Cash on Cash Return(CCR)」を考える上でも、数字をあまり絶対視するのではなく、あくまでも投資効率を評価する1つの目安として捉えておくことで、より安全で効果的な不動産投資を実現できるでしょう。

 

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