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アメリカ不動産の情報を調べたり、記事を読んだりしていると、なじみのない用語を目にすることがよくあります。それらの用語を検索してみても、いまいち要領を得ない…なんて経験はありませんか? しっかり理解するには、アメリカの文化や現地事情への理解が必要な場合も。本シリーズでは、そのようなアメリカ不動産における頻出用語をより詳しく、そしてわかりやすく解説。
第1回目のテーマは「クラス(class)」。アメリカの物件を見ていると「クラスA」「クラスB」といった単語がよく登場します。なんとなくの意味は想像がつくけれど、詳しい定義までは知らない…そんな人も多いであろう「クラス」というワードについて解説します。
クラスは、不動産の価値をはかる上での指標となる用語です。大まかにA~Cまでの3段階が設定されています。日本で言うところの上・中・下のイメージに近いもので、より細かく「B-」や「C+」と表現されることもあります。
クラスを認定する上での評価基準はさまざまです。立地条件や築年数、収益性、設備、地域の成長性、家賃…などなど、さまざまな要素を総合して格付けが行われます。経済紙などでも使われる言葉であるため、ややアカデミックで格式張った評価手続がありそうですが、実は明確な格付け基準や定義が定められているわけではなく、評価者の感覚的な判断に負う部分も大きいようです。
クラスA ~C、それぞれの大まかな基準は以下のようなものです。
▼クラスA
3つの評価基準の中でも最高品質とされる物件です。一般的に築15年以内の新しい物件で、高品質の設備やアメニティを備え、高い賃貸収入と低い空室率を見込めるのがおもな特徴。立地条件も非常によく、専門家の手でしっかりと管理されている物件です。大がかりなメンテナンスや修繕も必要ありません。
▼クラスB
クラスAと比べて築年数がやや古く、賃料も安めに設定されている物件です。多少のメンテナンスや修繕が必要な場合も多いようです。しかし、一定水準以上の手入れは行き届いており、修繕を行うことでB+やAクラスまでグレードアップさせることも十分可能。一方、クラスAの物件よりもキャップレート(※)は高くなることが一般的です。
今回のTikTok騒動の顛末によって、アメリカ不動産市場における中国人投資家の今後の動向をさらに左右するような影響が出てくると考えても、決しておかしくはありません。
(※)投資物件の収益性を判断する際に用いられる指標。「還元利回り」「収益利回り」「期待利回り」などとも呼ばれる。
▼クラスC
築年数は20年以上と古く、立地条件もあまりよいとは言えない物件です。Bクラスの物件と比べて、より大々的かつ根本的な修繕が必要な場合もあります。賃料もクラスAやクラスBを大きく下回るため、安定したキャッシュフローを得るためには、投資家の工夫も必要な物件です。
これらクラスは、個々の物件の評価を示すと同時に、市場のトレンドや動向を把握するのにも役立つ指標です。例えば「クラスAやクラスCは不調なのに、クラスBの物件だけ売れ行きが好調」という状況もあります。アメリカでは経済的な階層がはっきりと分かれているため、政策や経済の情勢に、各階層の消費動向がビビッドに反映されるのが大きな理由のひとつ。中流以下の層を経済的に支援する政策が出たときにはクラスCの物件が売れ、投資家や富裕層が優遇されるとクラスAが売れる…ということがよくあります。
こうしたことからも、単純に「クラスAの物件が一番いい」と判断するのは早計です。経済や政治の動向をマクロな視点で見つつ、リスクとリターンのバランスを見極めた上での判断指標として「クラス」を捉えることができれば、より効果的な投資が行えるかもしれません。
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