Highlights
「新しい生活様式」や「withコロナ」といった言葉に象徴されるように、新型コロナウイルスは、私たちの生活のあり方やこれまでの常識に大きな変化をもたらそうとしています。いずれ事態が収束を迎えたとしても、一度定着した新しい習慣は一過性のものでは終わらず、当分は人々の間に残り続けるかもしれません。
不動産市場における「郊外志向」「都心離れ」といった傾向も、そうした変化の一つです。とりわけアメリカの不動産市場において今、郊外志向の傾向は顕著に表れています。
現在、ニューヨーク都心部から郊外へと脱出する人の数は、依然として増加傾向にあります。その背景にある要因として挙げられるものは、新型コロナウイルスに対する人々の心理的不安。とりわけ小さな子どもや、妊娠中の女性がいる家庭においてその傾向は強いようです。
そして、近年稀に見るこの郊外流出の傾向が、アメリカ不動産市場そのものに大きな変化をもたらしているのです。
アメリカ郊外の不動産物件は現在、圧倒的な売り手市場にあります。たった一度の内見で購入を即決する購入者や、そもそも内見を一度もすることなく購入を決める人さえ増えているようです。
ニューヨーク郊外のウエストチェスターでは2020年6月21日までの約一ヶ月間で、物件の契約数が前年比で18%増加したというデータ(※1) があります。
またニューヨーク・タイムズの記事によると、ニュージャージー州北部の郊外において、都市封鎖が緩和されたことで、5月の契約件数が前月比で70%も増えているとのこと。40〜60万ドルという比較的手の出しやすい物件から、250万ドル以上の物件需要も増加しつつあり、現在、最も購入需要が伸びているのはこうした高級物件となっています。(※2)
こうした郊外物件への需要の高まりに反して、物件の数は不足傾向にあるようです。
同じくニューヨーク・タイムズの記事によると、コネチカット州グリニッジにおける一戸建て住宅の取引件数は、第2四半期中に前年比で8%増加。それに反して、物件の在庫数は18.5%近く減少したといいます。(※3)
物件数が不足していることで、通常ならあまり注目されないような、古い物件の人気も高まっているようです。築年数が100年近いリノベーションが必要な物件であっても、一般的な相場を超える高額な購入募集に、多くの希望者が殺到しているような状況です。
賃貸物件においても同じ傾向が見られます。大金を稼ぐチャンスとばかりに、家賃を釣り上げている家主が増えています。サマーバケーション用の賃貸別荘を例年よりも高額な金額で貸し出すオーナーも増えていますが、それでもなお、入居希望者は後を絶ちません。
新型コロナウイルスがもたらした、郊外不動産の圧倒的な売り手市場。こうした傾向がいつまで続くかは正確な分析が待たれますが、新型コロナウイルス収束の糸口が見えない今、当分の間は続きそうです。
(※1)データ出典元:Sotheby’s International Realty “A Market Unrivaled” (https://wps-static-williampittsothe.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2020/07/Q22020-MarketWatch.pdf)
(※2)(※3)データ出典元:The New York Times “5 Ways the Coronavirus Has Changed Suburban Real Estate” (https://www.nytimes.com/2020/07/17/realestate/coronavirus-suburbs-real-estate.html?auth=login-google)
関連記事
新型コロナウイルスがアメリカ不動産投資に与える影響
実需向け不動産は、物件価格が上昇している!? 新型コロナウイルス影響下のアメリカ不動産市場
リーマンショックとは違う! 依然として安定している新型コロナウイルス下の米国不動産市場
強制退去の手続き再開 新型コロナウイルスによる失業増でアメリカ不動産市場への影響は?
「都心離れ」「郊外志向」がキーワードに。新型コロナの影響で価値を高めるアメリカ郊外不動産
まずはお気軽に資料請求
エリアや物件の最新情報、シミュレーションサンプルなど無料プレゼント!
アメリカ不動産の利点やリスクが分かる、動画セミナーも限定配信!
>>資料請求はこちらから<<