【この記事のポイント(Insights)】
米国のプロップテック企業・LeaseLock社は、賃貸の「Deposit:デポジット、保証金」をなくすビジネスモデルで注目されています。デポジットは物件に対する損害に備える預り金で、日本で言う敷金と近い概念です(敷金とは違い、過失がない場合は満額返ってくるケースが多いとされます)。LeaseLock社はこのデポジットは、借り手と貸し手の双方の利益を損なっていると考えました。
借り手からすれば、初期費が大きくなり、手元資金が減る点が最大の損失です。日本人の感覚では、「初期費は痛いければ退去時に返ってくるからまあいいか」と考えてしまいそうですが、資産運用をするのが一般的なアメリカでは、まとまった金額を長期間寝かせておくことには大きな抵抗があります。貸し手からしてみても、借り手が減り空室期間が長引くリスクがあるのに加え、退去時の返金対応に関する手間が発生します。そこでLeaseLock社は、デポジットがなくすことで借り手がもっと家を借りやすくなり、貸し手も空室リスクを最小化できると考えたのです。
LeaseLock社のビジネスモデルは以下です。
アメリカで賃貸契約を結ぶ際のデポジット金額は、家賃1ヶ月分前後が相場とされます。月額1,500ドルの物件を借りる場合、デポジット金額はどんなに安くても500ドル、2,000ドルになることも少なくありません。
対して、LeaseLock社のリース保険であれば、貸し手の信用リスクに応じて15~75ドルです。仮に最大の75ドルでも、2年程度住んでやっとデポジットと同等の出費です。加えて、支払いタイミングが遅らせられる≒手元に残ったお金を運用に回せるため、非常に大きなメリットがあります。
借り手にこれだけのメリットがありながら、貸し手側にも恩恵があります。以前は自分たちが背負っていた回収リスクを無償で肩代わりしてくれるようなものですから、利用しない手はありません。
この画期的なモデルは市場からも受け入れられ、急成長中です。2016年に提供を開始したリース保険は、2023年初に通算の掛け金が60億ドルを突破。公開されている最新の情報では、同年10月30日時点に90億ドルを突破しています。23年末までには100億ドルを超える見込みとも言いますから、成長ぶりが加速していることが分かります。
創業社長のエド・ウォルフ氏は「従来のデポジットは、借り手にもオーナー/運営者(貸し手)にも役立たない、時代遅れの業界モデルを永続させている」と、業界の慣例を強い言葉で批判しています。
同社がゼロ・デポジット・プログラムとも表現するリース保険は、賃貸の新しい常識になり得るのでしょうか?
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