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買い手・借り手が主導の物件探しを実現する、シンガポールのプロップテック企業 Ohmyhome社がナスダックに上場

作成者: 海外不動産Insights 編集部|2023.04.26

Highlights

  • シンガポール発の不動産プラットフォーム企業、Ohmyhome社がナスダックに上場した。
  • 同社が運営する住宅の購入や賃貸のマッチングプラットフォームでは、高いユーザー利便性で人気を博している。
  • なかでも、買い手(借り手)主導で物件を募集できるShoutOut™は他社にはないユニークな機能で、売り手(貸し手)にもメリットが大きい。

シンガポール発の不動産企業がナスダックに上場

2023年3月24日、シンガポールに本拠地を置く不動産プラットフォーム企業、Ohmyhomeがナスダックに上場しました。同社は、ナスダック上場企業としては初となる、2つの特徴を持っています。1つは、シンガポール企業であること。2つめは、女性だけによって創業された企業であることです。また、マイノリティーとしての2つの記録を抜きにしても、2016年の創業からわずか7年で国際市場への上場を達成したことは、称賛に値する事実です。

Ohmyhomeは、住宅の販売、賃貸、管理などを一挙に担う総合不動産企業ですが、単なる何でも屋ではありません。躍進の裏にある、他社にはないユニークなビジネスモデルを紹介します。

重複のない物件リストや、エリア内の物件価格を一望できるマップでユーザー利便性を向上

同社のサービスは、住宅探しにおけるさまざまな不便を解消し、売り手と買い手(あるいは貸し手と借り手)のマッチングを効率的にします。

例えば、重複のない物件リストもその1つです。日本でオンラインで住居を探すと、物件情報の重複の多さにストレスを覚えるはずです。別々のWebサイトに同じ物件が載っているのは仕方がないにせよ、1つのサイトのなかで同じ物件を何度も見せられ腹立たしいものです。そこで同社は、1つの住所につき1つの物件ページしか投稿できない仕組みをつくりました。

また、価格を地図上に表示することも可能で、エリア優先で家探しする際や、地域の相場を直感的に掴むのに便利です。これはホテル予約サービスなどではよく用いられるインターフェイスですが、日本の住宅探しプラットフォームではあまり見かけません。物件が密集しているがゆえの難しさもあるのでしょうが、エリアとコストは住み手にとって1,2を争う優先事項ですから、上手な見せ方を検討してほしいものです。

そして、最も特徴的なのが、同社の代名詞でもあり、個別に商標登録もされている機能「ShoutOut™」です。

買い手・借り手から、"募集要項”を登録できる

ShoutOut™は、買い手や売り手も物件探しの主導権を持てるようにするサービスです。

これまでの住宅マッチングプラットフォームでは、売り手や貸し手が物件を登録し、買い手や売り手はそのなかから希望に合う物件を探すしかありませんでした。リストにない物件は探しようがないため、気に入る物件が登録されるまで待つか、諦めて他の物件で手を打つことを強いられました。さらに、待つことを決めた場合、運良く条件に合う物件が登録された際に他のユーザーに先を越されないよう、頻繁に検索を繰り返す必要がありました。

ShoutOut™は、このリストの登録を、買い手や借り手側からも行えるようにしました。「こんな条件の家を探している」という募集要項を掲載し、それに合う条件の物件の持ち主からの提案を受けられるようにしたのです。これにより、買い手(借り手)は、自身のニーズを潜在的な売り手(貸し手)に伝えられるようになりました。

恩恵を受けるのは買い手(借り手)だけではありません。物件のオーナーは、物件を売り(貸し)に出す前に、ニーズの有無を知ることができます。ニーズが分からないからと弱気の価格設定をすることがなくなりますし、複数のニーズがあればそのなかから最も良い条件の人に売ればいいのです。さらに、制約までにかかる手間や時間が小さくなります。従来の物件リスト経由の買い手(借り手)は本当に気に入って検討しているのか、妥協しているのか事前に見分けにくかったのに対し、ShoutOut™から声をかける買い手(借り手)は、条件面でのマッチング度が高いことが保証されているからです。

このように、住宅供給者と需要者の双方の利便性を高めることで急成長を遂げたOhmyhome社。現在ナスダック市場自体が低調なため、同社の時価総額も急拡大とは行きませんでしたが、事業自体は好調とのこと。今後のさらなる成長に期待です。

 

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