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米国各都市の不動産市場のリスクを測るMRIとは?

作成者: 海外不動産Insights 編集部|2024.10.30

【この記事のポイント(Insights)】

  • 米コアロジック社が提供するMarket Risk Indicator (MRI) は、都市毎の住宅市場リスク把握に役立つ。
  • 価格や取引量など住宅市場内の指標だけでなく、失業率や所得の変化などの外的要因も考慮されており、精密に算出されている。
  • 同社が2024年10月1日に公開したレポートでは、プロボ-オレムや、アトランタ・サンディスプリングス・ローセルなどが高リスク都市として挙げられている。

アメリカの不動産市場は、都市によってその特徴や好不調に大きな差があります。市況は刻一刻と変動するため、リアルタイムな情報を得るには、各地域の業界団体やメディアが発行するレポートを読み込むか、現地に詳しいコンサルタントに話を聞くことをおすすめしますが、高リスクな都市を足切りするだけであれば、そこまでする必要はありません。

各都市のリスクを比較的高精度に予測するMarket Risk Indicator (MRI) というツールの情報が一部公開されているからです。本記事では、コアロジック社の提供するMarket Risk Indicator (MRI) について、そのリスク算定の仕組みと直近のリスク評価に関する情報を解説します。また、記事の最後に、最新のレポートでリスクが高いとされている都市についても紹介していますので、どうぞご参照ください。

コアロジックのMarket Risk Indicatorとは

コアロジック社のMarket Risk Indicator (MRI) は、アメリカの不動産市場における経済的リスクを予測するためのツールです。このインジケーターは、不動産価格の変動、住宅ローンの利率、取引活動、住宅供給の状況、失業率、所得の変化など、さまざまな経済データを基に算出されています。MRIは、これらのデータをもとに、市場のリスクレベルを「低リスク」から「非常に高リスク」までの段階で評価します。

住宅市場を評価するツールは他にも多くあり、住宅価格の変動予想に重きを置いたZillow Home Value Forecast(ZHVF)、ローンのデータ分析に強みを持つBlack Knight’s Mortgage Market Report、過去の価格変動実績を評価するS&P コアロジック Case-Shiller Indexなどが代表的ですが、リスク予測という点ではMRIが最も精密です。

MRIの計算は、同社が独自に収集したデータや公的機関からのデータを活用しています。これにより、各都市の不動産市場のリスク評価が行われており、投資家や住宅購入者にとって市場の動向を把握するための有益な情報源となっています。

Market Risk Indicatorの確認方法

コアロジックのMarket Risk Indicatorは、同社の公式Webサイトやレポート、または金融機関や不動産関連のニュースメディアを通じて確認することができます。

特に、コアロジック公式WebサイトではMRIに基づいたレポートを毎月公開しており、アメリカ国内の各都市ごとの市場リスクについての最新の分析が無料で確認できます。これにより、ユーザーは自分が関心を持つ地域の不動産リスクを把握できるのです。

直近のレポートでリスクが高いとされている都市

コアロジックの最新のレポートによると、以下の都市が高いリスクを抱えており、いずれも12ヶ月以内に住宅価格が低下する確率が70%以上だとされています。

  1. プロボ-オレム (ユタ州) - プロボ-オレムでは、急速な人口増加と住宅供給の不足により、不動産価格が急騰しています。また、近隣の経済成長が進む中で、建設コストの上昇と土地の制約が市場リスクを押し上げています。
  2. アトランタ・サンディスプリングス・ローセル (ジョージア州) - 近年、住宅価格の急上昇と住宅供給の不足が続いており、特に住宅購入者にとって手の届きにくい価格帯が増えています。また、人口の増加に伴う需要が供給を上回っており、価格の変動リスクが高まっています。
  3. ソルトレイクシティ (ユタ州) - ソルトレイクシティでは、過去数年間で住宅価格が大幅に上昇しており、特に若年層の住宅購入が難しくなっています。また、失業率の変動や建設コストの上昇が市場リスクを高めています。
  4. パームベイ-タイタスビル-メルボルン (フロリダ州) - この地域では、高齢者向けのリタイアメントコミュニティの需要が高まっている一方で、新築供給が追いついておらず、価格の高騰が続いています。また、沿岸地域であるため、気候変動や自然災害のリスクも市場のリスク要因とされています。
  5. ゲインズビル (フロリダ州) - ゲインズビルでは、人口増加に伴い住宅価格が急上昇しており、特に賃貸市場が過熱しています。また、大学都市であるため、学生の需要による季節的な価格変動が大きく、これがリスクを高める一因となっています。

MRIは、住宅購入者や不動産投資家にとって重要な指標であり、市場の健全性を素早く把握しリスクに備えるのに役立ちます。ぜひご活用ください。

 

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