【この記事のポイント(Insights)】
米国では家賃の支払いを、月内で分割したり、給料日後に支払ったりできる「フレキシブル・ペイメント」サービスの利用者が増えています。家主は未回収リスクを低減でき、賃借人は手元にキャッシュを残しながら生活できることで、双方にメリットがあるこのビジネスモデルについて、仕組みや具体的なサービス名などを紹介します。
フレキシブル・ペイメントのビジネスモデルは以下の要素から成り立っています。
1. 立て替えの仕組み
フレキシブル・ペイメントサービス会社は、物件オーナーが指定する日に、家賃の全額を立て替え払いします。
2. 借り手から分割で回収
サービス会社は、借り手から月内で数回に分けて家賃を回収します。分割回数や支払日の自由度はサービスにより異なりますが、借り手の希望を反映した支払いスケジュールを設定できます。
3. 信用評価とリスク管理
サービス会社は、テナントの信用評価をもとに、支払い能力を判断した上でサービスを提供します。滞納リスクを減らすため、クレジットスコアや収入確認を行う場合が多く、リスクの管理をしっかり行った上で立て替えを実施しています。
4. マネタイズ
借り手から徴収する立て替え手数料がマネタイズの柱です。毎月の家賃だけでなく、デポジット(入居時の預け入れ金。通常は退去時に全額返金される)を肩代わりし、その何割かを返却なしの払い切りの頭金として徴収する等のオプションも豊富です。
オーナーや管理会社からサービス利用料を取る会社も存在します。
このビジネスモデルは、まず家主と賃借人の双方にメリットを生みます。
家主メリット
家主にとってのフレキシブル・ペイメントの最大のメリットは、家賃の未回収リスクが大幅に低減されることです。サービス会社が家賃を建て替えるため、家主は契約時点で家賃の支払いが保証されます。さらに、家賃の遅延や未納によるストレスから解放されるため、管理にかかる時間や労力も減少します。
借り手のメリット
借り手にとって、フレキシブル・ペイメントは、家計管理の柔軟性を向上させる手段となります。月初の家賃支払いが困難な場合でも、給料日など収入のタイミングに合わせて支払いを調整できるため、手元のキャッシュフローを保ちながら生活が可能です。また、急な出費が発生した際にも、家賃支払いを後回しにすることで一時的に対応することができるという安心感があります。
フレキシブル・ペイメントのコンセプトは、2010年代後半に米国で登場し、家賃負担の増大とともに成長を遂げました。特に新型コロナウイルスの影響で経済的不安が広がる中、このサービスの需要は急増しました。現在、数百万人がこのサービスを利用しているとされ、その市場規模は急速に拡大しています。
フレキシブル・ペイメント市場には、いくつかの主要な企業が存在しています。これらの企業はそれぞれ独自のサービスを提供し、市場の成長を牽引しています。
RentEase
RentEaseは2019年に設立され、主に若年層の賃借人をターゲットとしています。このサービスは、支払いスケジュールをカスタマイズする柔軟性が特徴で、アプリを通じた簡単な操作で家賃の支払いが管理可能です。特にモバイル技術を活用している点が若年層に支持され、市場でのシェアを急速に拡大しています。
Best Egg
Best Eggは、個人向けローンで知られる企業で、家賃支払いの柔軟性を高める「Flexible Rent」プログラムを提供しています。賃借人は収入サイクルに合わせて家賃を分割払いすることが可能で、家主に対しては定期的な支払いが保証されます。Best Eggの強みは、既存の金融サービスの一環としてこのプログラムを提供しており、総合的な金融ソリューションを提供する点にあります。
Zego
Zego(旧PayLease)は業界で長い経験を持ち、フレキシブル・ペイメントの先駆けとして知られています。toB的な側面が強く、家賃の支払いに加え、ユーティリティ管理や住民エンゲージメントなど、プロパティマネジメントの自動化ソリューションや管理会社向けのツールも提供しているのが特徴です。設立は2015年で、2020年にリブランドされました。
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