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アメリカが利上げに踏み切る方針を発表されたことをきっかけに、世界的な金融引き締めのムードが高まっています。
各国の中央銀行が利上げの検討を行なっていることが報道されると、民間の銀行が先回りするように各種金利を引き上げるのが一般的な流れで、実際に日本でも住宅ローンの金利が上昇し始めているようです。
しかし、上昇してもなお、日本の住宅ローン金利はアメリカと比べればはるかに低い水準に留まっています。日米の金利差をうまく利用すれば「日本で借りて、アメリカで買う」といった戦略を取ることも可能に。そこで本記事では、日米の住宅ローン金利の違いを、利率や制度などの観点から比較します。
2022年2月時点の日本国内の主要な金融機関のフラット35(借入時に返済終了までの金利が確定する住宅ローンで21〜35年の固定金利)の金利は、年率1.280%〜2.270%。三井住友信託銀行、みずほ銀行、楽天銀行、イオン銀行、りそな銀行、優良住宅ローンが同率で並んだ1.350%が最頻値となっています。
いずれの金融機関も0.05〜0.1%程度の利上げを行っており、「ローン金利が高くなった」と感じている住宅購入検討者も多いかもしれません。しかし、アメリカの住宅金利と比べるとこれははるかに低い数字となっています。
2022年2月24日時点での、アメリカの30年固定住宅ローン金利は平均で年率4.23%。日本と同等の返済期間にも関わらず、金利は2〜3%ほど高い数字です。住宅ローンは額が大きいだけに、最終的な返済額にも大きな差がつくことは間違いありません。
日本の金利水準から見ると「アメリカではそんなに高い金利でローンを組む人がいるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、もちろんたくさんの人がローンを組んでいます。中古不動産市場が活発なアメリカでは、購入価格よりも大きな金額で売却できる可能性も高く、キャピタルゲインが期待できるため、金利が少々高くとも借り入れをして家を購入した方が結果的に資産効率が良くなるケースが多いためです。
アメリカ人が高金利を恐れない大きな理由がもう1つあります。その理由が、アメリカではローンを支払えなくなったときの責任範囲が日本よりも小さい、ということ。
日本ではローンの完済義務があるため、債務者がローンを支払えなくなり、保有する物件を売却しても返済できなかった場合、残った金額は負債として残ります。しかしアメリカの場合、ローンが支払えず家が差し押さえられた場合は、その時点で残りのローン返済は帳消しになるのです。
市場の流動性が高く、差し押さえた不動産の価格が落ちにくいといったアメリカならではの事情も背景にはありますが、こうしたローン方式の違いを指して「アメリカは人間ではなく不動産にお金を貸す」と表現する人もいるようです。
同時にアメリカでは、債務者に対する審査も日本より緩いのが一般的です。日本では、築年数が長いほど不動産価格も落ちていく傾向が顕著なため、物件を差し押さえても十分な価格で売れることは少ないのが現状です。そのため、貸し手としては借りる人の返済能力をシビアに見極めなければならず、必然的に審査も厳しいものになってしまいます。
ここまで読んで「金利面で有利な日本の住宅ローンで、資産価値の高いアメリカの不動産を買えたとしたら……?」と考えた人もいるかもしれません。
結論から言うと、それは可能です。日本国内で不動産を購入するときほどの選択肢はないものの、いくつかの銀行がアメリカ不動産投資用の住宅ローン商品を用意しています。国内不動産と比べれば高めの金利設定ではありますが、それでもアメリカの金融機関と比べれば、1〜2%低い水準に設定されています。
検討する際に注意したいのが、以下の2点。
・担保:購入物件(アメリカの物件)で良いか、日本の物件を別途担保にする必要があるのか
・投資可能エリア:アメリカ国内どこでも可能か、特定の州のみに限られているか
この2点は基本的にセットになっており、購入物件を担保にできる場合は、投資可能エリアに制限があるのが一般的です。これはつまり、金融機関が物件の資産価値を厳密にジャッジする必要があるため、マーケット勘のあるエリアに投資範囲を限定したいということを意味します。
一方、日本の物件を担保として求められる場合は、投資可能エリアは自由になるのが一般的。「担保はあくまで日本の物件なので、購入物件の資産価値が低くても問題ない」という判断です。
見方を変えると、購入物件そのものを担保にできる場合、担保になる現地物件は、金融機関によって「資産価値の高い物件」とお墨付きをもらったと捉えることもできるでしょう。またエリアに制限があるといっても、ハワイ州やテキサス州、ジョージア州など、日本人投資家に人気のエリアは対象内であることが多いため、まずは購入物件担保型のローンを優先して検討してみるのが得策かもしれません。
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