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英語圏の不動産に関する有名な決まり文句に、“Location, Location, Location”というものがあります。「家を探すときには他の何を置いても、まずは立地を見よ」というようなアドバイスで、日本語で「一に立地、二に立地、三四がなくて五に立地」とでも訳せそうな言葉でもあります。
“Location, Location, Location”は英語圏において非常にポピュラーな決まり文句でもあり、住宅購入者の家探しを追うイギリスのリアリティ番組のタイトルにも採用されています。ちなみにこの言葉は、不動産王のハロルド・サミュエルが残したものという俗説がありますが、これは誤りとされており、彼が不動産業に関わり始めた頃にはすでにこの言葉は存在していたようで、その歴史の古さも伺えます。
本記事では、不動産においてなぜそこまで立地を重要視すべきなのか、その理由について考えてみます。
都心部へのアクセスが良く、最寄り駅にも近く、治安は良好、スーパーやコンビニなどの商業施設にもほど近い……。そのような生活しやすいエリアに位置する物件が多くの人に好まれるのは周知の事実です。そのような便利な地域の物件は、買い手・借り手が集まりやすいため、収益性も高いものになることが一般的です。
店舗などの商業用物件として利用する場合、エリアの重要性はさらに増します。駅によって生活者の年齢や性別の傾向、また経済状況や趣味嗜好といったライフスタイル傾向も大きく違ってきますし、通りが一本違うだけでも人通りに大きな差が生まれる場合もあります。もちろん、良い立地の物件は売上を立てやすくなりますが、当然運用コストも高くなるため、自らのビジネスの特性や規模に合ったバランスで立地を選ぶセンスも経営者には求められます。
いずれにせよ、住む場合、貸す場合、そしてビジネスを行う場合でも、物件の立地条件は非常に重要なポイントだと言えるでしょう。
不動産とその他の金融商品を比べて、大きな違いとして挙げられるのが、その“唯一性”です。
株式を例に考えてみましょう。ある会社の株は、定款に定められた株式数だけ存在し、それらはすべて同じ価値を持つものと考えられています。つまり、Aさんの持つ株式も、Bさんの持つ株式も、そこには価値としての差異はなく、同じ価値の株式が複数存在していることになります。こうした意味で、株は唯一性がある金融商品ではありません。これは債権や金なども同様です。
一方、不動産の場合、全く同じ条件の物件が複数存在することはほぼありません。そうした意味で、不動産は唯一性がある金融商品と言えます。そのため、ある特定の物件を複数の人が欲しがった場合、購入価格の競い合いが発生し、価格が上昇します。これはアート作品の価値が上がるのと同じ理屈と言えるかもしれません。
そして、物件の唯一性を支える何より重要なファクターが立地です。極端な話、同じ施工会社に同じ仕様で発注すれば、物件の外観や設備、間取りなど、限りなく同一に近い建物を作ることは可能です。
しかし、立地はそうはいきません。例えまったく同じ広さで、ほぼ同じ場所に隣接する土地があったとしても、どちらが駅に近いか、向かい側や隣にはどんな建物があるのか、どちらが日当たりがいいのかなどの諸条件によって、少しずつ価値に差異が生まれるからです。
物件の機能や設備は、お金をかければ、後からでも変えることができます。リフォームや建て替えによって、建物の利便性や快適性を後天的に高める措置は一般的です。
一方、土地の立地条件を後から変えることは、非常に難しいと言えるでしょう。敷地内で盛土をするなどして、高さを変えることなどは多少できるかもしれませんが、それにも限界があります。隣の土地の権利者が土地を手放すような場合を除き、敷地を拡張することもなかなか難しいと言えるでしょう。大手不動産会社でも多大なコストと労力を費やす立ち退き交渉を、個人で行うことも現実的ではありません。
物件を選んだり、建てたりする場合には「立地条件は後から変えられないもの」という前提で考える必要があり、だからこそ立地は購入時に特に念を入れて精査すべきものだと認識されているのです。
以上の3つが、"Location(立地)”が重要な理由として挙げられる主な理由です。不動産を選ぶ際には、ぜひしっかりと見極めたいポイントです。
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