【この記事のポイント(Insights)】
都市部を中心に全米で深刻な住宅不足が続く中、「モジュラービルディング」はその解決策の1つとして注目を集めています。本記事では、モジュラービルディングの基本から、最新技術、そして市場の未来について解説し、不動産投資家にとってどのような機会をもたらすかを探ります。
モジュラービルディングは、建物を機能ごとに分けた「モジュール」を工場で製造し、現場で組み立てる建設工法を指します。モジュールの具体例を挙げると、壁、床、天井、さらには配管や電気設備まで、さまざまなパーツがモジュール化されています。現場ではこれらを接続するだけで建物が完成します。
在来工法との主な違いは、現場での作業量と工程の分散度合いです。在来工法では、すべての工程が現場で行われるのに対し、モジュラービルディングでは、製造プロセスの90%以上が工場内で完了します。このため、天候による作業の遅延がなく、効率的な建設が可能なのに加え、仕上がりの品質と均一性を担保できるのが利点です。
モジュラービルディングの概念自体は20世紀初頭から存在しました。特に戦後の住宅需要の高まりを受け、工場で製造されたプレハブ住宅が普及しました。しかし、1970年代以降、厳しい建築規制や品質に対する疑念、設計の自由度の低さが原因で、モジュラービルディング市場は一時的に停滞しました。
一度は下火になったモジュラービルディング技術ですが、近年になって再評価されています。その背景には、住宅不足と建設コストの高騰の問題が挙げられます。都市部を中心に深刻な住宅不足が続くなか、迅速な建設が可能なモジュラービルディングが解決策となり得ます。そこで、カリフォルニア州やテキサス州など一部の州は建築規制の緩和を進め、モジュラービルディングプロジェクトに認可が下りやすい状況になったのです。
規制を緩和する州や地域の具体例は以下です。
また、持続可能性への関心の高まりも、モジュラービルディングの需要を後押ししています。そのきっかけとなったのが、スウェーデンでの成功です。厳しい寒さに耐える必要があり、かつ地球環境保護の意識が高い北欧では、住宅の断熱スペック要件が厳格に決まっています。その要件をクリアするにあたって、室温や湿度が一定で、加工器具の整備が行き届いた工場内で、規格に従ったサイズで製造されたモジュールは好都合でした。モジュラービルディングの活用により、スウェーデンの住宅建設は、より効率的で環境に優しくなったのです。米国でも住宅のエネルギー効率要件は年々厳しくなっており、これがモジュラービルディングの追い風となると目されています。
規制緩和だけでなく、モジュラービルディング自体の技術革新も、市場拡大の要因になっています。特に注目される技術には以下があります。
シンクタンクのレポートによると、モジュラービルディング市場は2020年代後半にかけて年平均10%以上の成長が見込まれています。住宅不足や建設コスト高騰といった現代の建設業界が直面する課題に対する効果的な解決策となる可能性を秘めつつも、規制や輸送コスト、設計の柔軟性といった課題も依然として存在するモジュラービルディング。技術革新と規制緩和が進むことで、住宅不足解消の「救世主」としてさらに注目を集めるでしょう。
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