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2023年度の外国人による米不動産購入は大幅減。在庫減や為替が影響か

作成者: 海外不動産Insights 編集部|2024.08.22

【この記事のポイント(Insights)】

  • NARの調査で、2023年度の外国人による米国不動産購入が前年比36%減少したことが判明。
  • 米国在住外国人の購入は微減なのに対し、海外在住外国人の購入が大幅に落ち込んでいる。
  • ドル高と在庫不足の影響が強いが、これらの課題は2024年度には若干緩和される。

外国人の米国不動産購入件数は前年比36%減少

2024年7月17日、NAR(全米リアルター協会)が2023年4月から2024年3月にかけての外国人によるアメリカ不動産購入状況についてのレポートを発表しました。レポートによると、この期間中、外国人が購入したアメリカの中古住宅総数は54,300件で、前年同期比で36%の減少。NARがこのデータの追跡を開始した2009年以降で最少の販売件数となりました。

アメリカ人の購入も含めた全購入件数は409万件で、外国人の購入が占める割合は約1.3%。金額比では2%を担っており、市場全体を左右するとは言わないまでも、小さくない影響力を持っています。本記事では、外国人の米不動産購入件数が減少した原因の分析と、今後の予想についてご紹介します。

海外居住者の購入減が顕著

レポートでは、外国人購入者を2グループに分けて分析しており、その傾向には差があります。1つ目のグループは、米国居住者または居住ビザを持つ人々で、購入額ベースで54%を占めます。彼らは自ら住むための家を必要とするため、需要の変動は比較的軽微です。このグループの人々の住宅購入額の合計は約226億ドルで、前年からは3.4%減少に留まりました。

より顕著に減少が見られたのは全体の46%を占める2つ目のグループで、海外居住者です。別荘または賃貸貸出用に住宅を買う彼らは、市場動向に応じて購入活動を柔軟に変更するため、変動幅が大きいのが特徴です。このグループの人々の購入額は約194億ドルで、前年比にして35%減少しました。

つまり、実需でも減少が見られるものの、投資目的の購入活動がより大きく落ち込んだと言えます。この原因は何だったのでしょうか?

ドル高の進行

外国人の米国不動産購入を妨げた一番の要因は、ドル高です。ドル一強とも言われた2022年の相場を概ね引き継ぎ、ほとんどの通貨に対してドル高が続きました。米国不動産購入上位国のなかでは中国、インドの通貨に対するドル強が特に顕著でした。為替が弱くなれば、購買力も下がります。NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏も「米ドル高により、アメリカ人にとって海外旅行は安くなるが、米国の住宅は外国人にとってはるかに高価になる」と述べています。

米国に住みドルで稼ぐ人の購入がそれほど減らず、海外在住者の購入が大幅に減少した事実も、為替の影響が大きかったことを裏付けています。

在庫の減少

為替に加え、在庫の減少も購入を減らす大きな要因でした。2023年度の住宅在庫は、ここ数年のトレンド通り不足状態が続きました。特に、住宅市場が動きやすい春から夏にかけてのシーズンは、過去数年で見ても最低水準でした。

在庫がないためほしい物件が見つからない、見つかっても価格が高騰している等の理由により、購入を見送った人が大勢いたと考えられます。特に、投資目的の場合は購入を急ぐ理由が少ないため、条件に合う物件が見つかるまで吟味する傾向にあります。

2024年度の展望は?

中国元とインドルピーに対するドル高は2024年8月現在も続いていますが、利下げが始まれば状況は少なからず変わると見られています。在庫数についても、2024年に入ってからは回復傾向にあります。パンデミック以前と比べればまだまだ不足気味ではあるものの、状況は徐々に良くなっています。2023年度の不振原因に関しては少しずつ解消していくと考えて良いでしょう。

これだけを理由に外国人による米国不動産購入が回復すると考えるのは早計です。大統領選結果によっては外国人投資に対する規制が強まる可能性がありますし、各地の地政学的リスクの高まりも不動産需要に大きな影響を与えます。米国経済に対するリセッション懸念もあります。それでも、為替と在庫という大課題が解消傾向にあることは知っておいていいでしょう。

 

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