【この記事のポイント(Insights)】
NAR(全米リアルター協会)は2024年1月3日にレポート「2023 Technology Survey」を公開しました。このレポートでは、全米の不動産事業者を対象に行なった、テクノロジーが業務にどのような影響を与えているかのアンケート結果がまとめられています。
アンケート項目は多岐に渡りますが、今回はそのなかから、NARが選んだ以下の17のテクノロジーに対する調査結果を紹介します。
NARの選定したテクノロジー
アンケートではまず、2023年(正確には23年10月のアンケート回答日から過去12ヶ月間)に、彼らのビジネスに最も影響を与えたビジネスツールに選ばれたテクノロジーは「電子署名」でした。回答者の実に79%が「非常にインパクトがあった」を選び、「いくらか影響があった」も含めると86%の人がこのテクノロジーの影響を受けました。
以降は、2位ロックボックス(非常に効果があった66%/いくらか効果があった13%、以下同様)、3位クラウドストレージ(48%/20%)、4位顧客管理システム(45%、22%)、5位ビデオ会議(45%/23% ※4位より好意的回答が多いが、否定的な回答も多いためこの順位)と続きました。
反対に、回答者があまりインパクトを感じなかったテクノロジーはAR(拡張現実)で、「非常にインパクトがあった」とした人はわずか7%。「いくらかインパクトがあった」とした人も10%にとどまり、「使っていない」が50%、「全くインパクトがない」が9%と不動産業界内にはARはほとんど浸透していないようです。電子公証も、51%の人が「使っていない」と回答しているものの、使った人の約半数が好意的な回答(非常にインパクトがあった13%、いくらか効果があった9%)をしており、こちらは知名度さえ上がればより大きなインパクト残せそうです。
アメリカの不動産事業者たちが業務インパクトが大きいとしている電子署名ですが、日本は出遅れています。業界によってはBtoBの取引に利用する会社が増えているものの、BtoCでは活用例がまだ少ない状況です。
不動産取引での利用も2022年5月に解禁されたばかりで、まだまだ一般化しているとは言い難い状況です。公益財団法人不動産流通推進センターが2023年3月に公開したレポート「不動産流通業におけるIT 技術の利用状況、効果と課題に関する調査報告書(2022年度)」によると、解禁から2ヶ月後の22年7月時点で、電子契約・電子署名システムを「導入している」と答えた企業は13.8%、「導入を検討している」と答えた企業が19.8%でした。30.7%の企業に至っては、「導入の必要性を感じない又は導入予定はない」と答えており、アメリカとの温度差を感じます。
一昔前であれば、「国土が狭く、売り手も買い手も都市圏に集中している日本は対面で問題ない」という意見にも説得力があったのですが、リモートワークや他拠点生活が進む今、対面や郵送でしか取引できないことは大きなロスになり得ます。もっと言えば、外国人と売り買いするケースも今後どんどん増えるでしょう。これからの時代、どこの国でも電子署名が必須になるのは間違いありません。
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