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不動産投資を行う人にとって、気になるキーワードの一つである「利回り」。ご存じの通り、数字が大きいほどリターンも大きいことを示し、株式・債券はもちろん、事業投資も含めたあらゆる投資において重要な指標です。
そもそも利回りとは、投資金額に対して一定期間の収益の割合を指す言葉。一般的には「年利回り」が最も多く用いられており、
年間収益 ÷ 投資額×100=年利回り(%)
という計算で算出が可能です。
不動産投資における利回りは少し特殊で、「表面利回り」と「実質利回り」の2つの言葉が使い分けられています。今回は、なぜ不動産だけ2つの利回りが用いられているのか、どちらを重視して投資を検討すべきかを解説します。
最初に、「表面利回り」と「実質利回り」の定義を確認してみましょう。すでに理解されている方は、次の段落まで読み飛ばしてください。
まず「表面利回り」は、その名の通り、表面上分かりやすい金額を勘定した数字です。計算式は
年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格×100=表面利回り(%)
とシンプルなもの。例えば、3,000万円で買った部屋を、月10万円で1年間常に満室で貸せた場合には、
120万円 ÷ 3,000万円 × 100 = 4.0%
が表面利回りになります。ここでお気づきの方もいるかと思いますが、使っている言葉は異なるものの、表面利回りと年利回りは、ほぼ同じ計算式となっています。
一方、「実質利回り」は出費をよりシビアに勘定した数字です。物件を購入する際にかかった仲介手数料や不動産取得税などの出費は投資額に含め、購入後にかかる修繕・クリーニング費や毎年の固定資産税などの出費を収益から差し引きます。先ほどの3,000万円の物件の購入時に諸経費に100万円かかり、購入後の年間コストが30万円だとすると、計算式は
(120万円-30万円) ÷ (3,000万円+100万円) × 100 = 約2.9%
となります。
2つの数字を比べると、表面利回りは 4.0%。実質利回りは約2.9%です。諸経費を厳密に算入することから、実質利回りは表面利回りよりも必ず小さくなることを覚えておいてください。
本来、利回りは投資額に対して収益が妥当かを判断するために使う指標です。そのため精度が高いほうが良いといえ、小さな出費もしっかり勘定する実質利回りのほうが、投資指標としては信頼できる数字といえます。実際、アメリカでは実質利回りを提示するのが一般的で、見えないコストがある表面利回りは参考にならないと考える人も多いのです。
一方、日本では表面利回りの提示が一般的です。より精度の高い信頼できる指標もあるはずなのに、なぜ表面利回りが多くの場合に用いられているのでしょうか。
「利便性」と「(売り手の)打算」が絡みあっているから、というのがその大きな理由といえそうです。
「利便性」とは、表面利回りが持つ数字的なわかりやすさのこと。計算式がシンプルであるため、不動産投資初心者でも無理なく理解でき、大まかなリターン期待値を誰でもスピーディーに算出できます。さらに、売り手側からみれば、必要なのは販売額と想定家賃のデータだけであるため、集める情報が少なく済みます。すなわち、売り手にも買い手にも利便性が高く、わかりやすい指標と見ることもできるのです。
さらに売り手の“打算”についても知っておかなければいけません。先述したように、表面利回りと実質利回りを比べると、必ず表面利回りのほうが大きな数字になります。つまり、パッとみた時に儲かりそうに見えるということ。投資物件は当然ですが、収益性が高い物件が売れやすくなるため「少しでも利回りを高く見せたい」という売り手側の打算が存在することも、買い手側は認識しておく必要があります。
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