【この記事のポイント(Insights)】
アメリカの利下げがいよいよ開始されます。2024年9月17~18日に開催されるFOMCで、4年半ぶりに利下げが行われることはほぼ確実で、議論の対象はもっぱら下げ幅です。0.25%単位で行われる利下げについて、最小の下げ幅の0.25%に留まるのか、もはや始まっていると言われる景気後退を阻止するために一気に0.5%引き下げるのか、市場の予想は割れています。
とはいえ、利下げが行われること自体を疑う声は皆無。この大きな転換点は、米国の住宅不動産市場に何をもたらすのでしょうか? 不動産投資家が注意しておくべきことを、今一度おさらいしましょう。次の段落に示す傾向は、今回に限らず利下げ局面で高確率で発生すると考えられる、いわば定石のような展開です。保存版としてメモしていただくのも良いかもしれません。
利下げが米国の住宅市場に及ぼす影響を6つ紹介します。上から順に実現可能性が高いと考えられます。
利下げが実施されると、住宅ローン金利の低下はほぼ確実です。住宅ローンの金利はFRBの政策金利に強く連動しているため、利下げ後に銀行や金融機関がローン金利を下げるのは非常に高い確率で実現します。利下げからのタイムラグも少なく、発表直後に最も早く反映されます。
住宅ローン金利が低下すると、住宅購入者の借り入れコストが下がり、より多くの人々が住宅を購入しやすくなります。
住宅ローン金利が下がれば、既存のローンの借り手が、より低金利のローンへとリファイナンスを行うのは一般的です。金利低下による借り換え需要の増加は、過去の利下げ局面でも確認されており、程度の差こそあれほぼ間違いなく実現します。借り手の反応は金融機関ほどタイムリーではないものの、ジワジワと借り換えが進みます。
これにより、住宅所有者のローン負担が軽減され、消費が増える可能性があります。
低金利環境は不動産投資にとって魅力的な条件を生み出します。特に長期的な賃貸運営を狙う投資家にとっては、借入コストの低下は、利回りの向上とイコールです。これも高い確実性がありますが、投資物件の購入には意思決定の時間がかかること、より金利が下がることを期待してアクションを待つ投資家もいることから、利下げ実施からやや遅れて活発化しはじめます。
投資マネーの流入は、住宅在庫不足や不動産価格上昇、家賃上昇などにつながります。
住宅ローン金利の低下により、住宅購入を検討していた人が購入に踏み切ることで、実需も増加する可能性は高いと考えられます。ただし、経済全体の状況や消費者信頼感によっては必ずしも需要が増えるとは限りません。特に今回のように、景気後退や雇用不安がある場合、金利が下がっても住宅購入を控える人が増えることがあります。
実需の増加も、投資の増加と同じく住宅在庫不足や不動産価格上昇、家賃上昇などにつながります。
需要が増加すると、供給が追いつかない場合、住宅価格が上昇することがあります。つまり、投資や実需が増えれば価格上昇につながります。ただし、地域ごとの需給バランスや供給状況に依存するため、全米で一様に同じ傾向が見られるとは限りません。特に、供給が十分であったり、経済が停滞している地域では、必ずしも価格が上昇しない可能性があります。
また、価格は需給バランスの変動からやや遅れて動きはじめるため、利下げからやや経って徐々に価格上昇する地域が多いと考えられます。
低金利が長期間続くと一部の地域で住宅価格が急騰し、他の地域で停滞するという二極化が進む可能性はあります。これは市場の特性や地域の需要動向に大きく依存します。金利以外の要素の影響も大きいため、利下げ局面で必ず二極化が進むかというと、そうとも言い切れませ。
以上6つのうち、1.住宅ローン金利の低下 2.リファイナンスの増加 はほぼ確実かつ即時的に起こると考えれます。3.投資家の活動活発化 4.住宅需要の増加 は、利下げ傾向が続くなら実現性が高いものの、景況感によっては増加が控えめになるかもしれませんし、5.住宅価格の上昇 についてはほとんど上昇しない地域もあるでしょう。6.市場の二極化 については、より慎重な判断が必要です。
上記のように、通常、利下げは住宅価格を上昇させる方向に作用します。ただし、特定のシナリオにおいては、価格が下がることもあり得ます。稀なケースですが、可能性として見ておきましょう。
たとえ利下げが行われても、景気が後退している場合には、消費者の購買力や将来への不安感が強く、住宅購入を控える動きが広がる可能性があります。この場合、需要が減少し、結果として住宅価格が下落することが考えられます。
建設ラッシュにより新築物件が次々と供給される一方で、需要が追いつかない場合、売れ残り物件が増え、価格が下落する可能性があります。特にサンベルト地域や一部の新興都市では、投資家が多く参入した結果、供給が過剰になるリスクが指摘されています。
住宅市場も低金利の恩恵を受けますが、それ以上に大きな恩恵を受け得る市場もあります。代表例が株式市場で、パンデミック下のような超低金利になれば、グロース銘柄中心に株価が跳ね上がることが期待できます。不動産よりも高いリターンを期待できる場合、不動産市場からの資金流出が加速し、住宅価格が下落する可能性があります。
利下げは一般的に、住宅投資家にとって魅力的な投資機会となる可能性が高いと言えます。低金利環境下で住宅ローンが安くなることで購入者が増え、価格上昇や家賃収入増が期待できるからです。ただし、地域や市場の特性によっては予想外の価格動向が見られることもあります。特に、過剰供給や経済の悪化が進行している地域では、利下げが必ずしも価格上昇をもたらさないシナリオも存在するため、慎重な市場分析が求められます。
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