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不動産売買の中で「ラブレター」が差し出されることがあることをご存じでしょうか?
ここでいうラブレターとは、住宅の購入希望者が売り主に向けて送る手紙のこと。購入希望者が複数いる場合、自分を選んでもらいたい買い手側が、自分の人となりや、その物件のどこに惹かれたか、熱意を手紙にしたためてアピールする慣習がアメリカでは以前より存在しています(エージェントが代筆する場合も多い)。
とはいえ通常、1つの物件に購入希望者が殺到するケースは少ないため、手紙なしで成約することのほうが一般的です。しかし今、不動産市場における人気都市を中心に、以前より盛んにラブレターが送られるようになっているといいます。
その大きな要因として、住宅の需給バランスが崩れ、売り手市場が到来していることが挙げられます。
市場における新築物件数が長らく不足気味だったのに加え、コロナ禍の影響で中古物件の売出しも減少。住宅の供給不足が深刻化する一方、住宅ローンの金利が下がったことで持ち家の購入を検討する人は増えています。その結果1つの物件に対して、かつてないほど多くの購入希望者が集中する状況が発生しており、「手紙」を契約成就のためのツールとして活用する人が増えているのです。
しかし、一部の専門家はこうした状況に警鐘を鳴らしています。
なぜなら手紙からは、買い手やその親族の地位、人種、宗教などに関する情報が読み取れてしまうため、そうした情報をもとに売り手側が誰に売るかを選定することは差別助長にもつながります。こうしたことは公正住宅法で禁じられていることもあり、不動産事業者協会は2020年の秋、エージェントに向けたガイダンスで「ラブレター」の使用を避けるよう推奨しました。
それでも他の購入希望者を出し抜くために「手紙」に頼る希望者は後を絶たず、ラブレター合戦は加熱の様相を呈しています。
ときには単なる自己紹介や褒め言葉以上の言葉が並ぶこともあり、「オプションマネー」と呼ばれる購入金額とは別のボーナス金の支払いを提案する人もいれば、「売買成約後も数カ月は売り主が無料で住んでいい」と譲歩する人もいるそうです。なかには「有名人と会わせる」など、一風変わった申し出をする人もいるといいます。
どちらかというと買い手側が優位な日本の商習慣からすると、やや異常とも思えるやりとりですが、それだけ現在のアメリカ不動産市場の加熱具合が伺えます。
アメリカ不動産をお持ちの方で、これから売却を考えている方には、こうしたラブレターが届くこともあるかもしれません。好条件の申し出に心が揺らぐこともあるかもしれませんが、各州の法律や前述した公正住宅法に抵触する可能性もあるため、まずはエージェントや専門家のアドバイスも取り入れつつ、冷静な対処を行うことが必要です。
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