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北米を中心に木材の急激な価格高騰が発生。建設業界はもちろん、世界経済にも大きな混乱を招く可能性があることが指摘されている「ウッドショック」。
2021年の初頭から、にわかに耳にする機会が増えたこの言葉ですが、その背景にはコロナ禍の影響による林業分野の雇い止めと、それによる木材の供給減、一方で低金利政策を背景にした住宅需要の増加という“需要と供給の不均衡”が大きな要因としてあると見られています。
ここ最近では、世界有数の木材輸入大国である日本においてもウッドショックの余波が到来しており、その影響がアメリカ国外にも飛び火していましたが、ここにきて一転、木材の価格高騰がやや落ち着きを見せそうな気配があります。
2021年6月21日、世界最大規模の先物取引量を誇るシカゴ・マーカンタイル取引所で、木材価格が一時900ドル付近にまで落ち着いたことが報じられました。これは遡ること約1ヶ月前の5月10日に記録した、過去最高水準の1733.50ドルの半分程度にまで急落した価格です。
とはいえ、金余りで投機的資金が集まりやすい社会的背景もあり、価格の乱高下を続けている先物市場。この急落がただちにウッドショック解消につながるものと判断するわけにはいきませんが、少なくとも高騰一辺倒の時期は抜けたようにも見えます。
こうした先物価格急落の背景には、木材の供給回復の兆候があります。木材価格の高騰により、木材が利益率の高い商品になったことで、労働者や設備への投資が活発化。アメリカ南部では、木材の生産が急増したことで、ここ数年、休眠状態にあった製材所が多数稼働を再開しており、ここにきて新しい製材所を開設する会社も増えているといいます。
増加傾向にある供給に対して、木材の需要は停滞局面を迎えています。木材を最も多く仕入れる主要顧客であるハウスメーカーが、木材価格の高騰を理由に、住宅の建設を延期するケースが増えたからです。またワクチンの普及により、パンデミックが落ち着きを見せ始めたことで、住宅ローンのかつてない低金利も通常時に近づきつつあり、新規受注のペースもゆるやかになっていることも理由として挙げられます。
しかし、木材の価格高騰が落ち着きそうな気配を見せているとはいえ、それはあくまで直近の最高値と比べての話。冒頭で述べた2021年6月21日の900ドルという金額も、1年前と比べると2倍ほどの水準です。
業界関係者の中には、現在の価格高騰は継続的なものではなく、あくまで需給バランスの歪みによる一時的なものだと考える人も多いようですが、ウッドショックの余波が完全に解消するのは、2022年の春以降だと見る向きもあります。
いずれにせよ木材価格の高騰が落ち着きつつあるのは事実のようですが、ウッドショックの危機を脱したと考えるのは、まだまだ早計かもしれません。もう少し長い目で、今後の動向を見守る必要がありそうです。
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